スマートフォンによる運転診断サービスを保険会社むけに提供開始…デロイトトーマツと日立

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デロイトトーマツリスクサービス パートナー 服部邦洋氏
  • デロイトトーマツリスクサービス パートナー 服部邦洋氏
  • デロイトトーマツリスクサービス マネージャー 上田淳氏
  • サービスの概要と画面イメージ
  • サービス構成イメージ。SDKとして提供し他のサービスに組み込む形も想定する。
  • 運転データの収集イメージとフィードバック内容
  • OBDのデータとそん色ない精度を達成したとする。

デロイトトーマツリスクサービス、デロイトトーマツコンサルティング、日立製作所は7月5日、共同開発した運転診断サービス『D-rive GO(ディーライブ・ゴー)』の提供を開始した。サービスはスマートフォンのアプリとして提供し、スマートフォンのGPS情報を利用して運転診断をする。

まずは日本国内の保険会社を対象に、運転特性に応じて保険料を算出する「テレマティクス保険」向けのサービスとしてD-rive GOを提供する予定だ。

展開について、デロイトトーマツリスクサービス パートナーの服部邦洋氏は「すでに日本の保険会社と実証実験を繰り返しており、サービス開始の準備は整っています。今後については、保険会社がサービス開始を自動車保険契約者に対して告知し、ログイン用のIDを発行します。契約者はそのIDでアプリにログインすると、利用を開始することができます。つまり現時点ではサービス利用者はいませんが、保険会社がサービスを開始すると利用者が増えていくことになります」と説明する。

また服部氏は「日本では、専用の車載デバイスを利用したテレマティクス保険はあるが、スマートフォン単体のセンサー情報によるテレマティクス保険はまだない。そこを狙っていく」と強調した。これは、車載デバイスに比べてスマートフォンのセンサー情報は不正確であることが多く、公平な運転診断が難しいためであるが、「デロイトUS で複数の保険会社に提供実績がある運転評価アルゴリズムを日本向けにカスタマイズしており、OBDの車速データとほぼ同じ精度で車速を判定できている。(保険商品の)認可を得ることも不可能ではないと考えています」と自信を見せた。

OBDのデータとそん色ない精度を達成したとする。
ちなみにスマートフォンとセットで利用するビーコンについては、Bluetooth Low Energyのジオフェンシング機能のためのもので、センサー類は搭載していない。

ビジネスモデルについては、「3年以内に100万人のサービス利用者を想定した場合、保険会社から1ユーザーあたり月額数百円のライセンス利用料を受け取る形を考えています。」とのことだ。

また日立は、IoTプラットフォーム「Lumada」を提供する。日立製作所 産業・流通ビジネスユニット 産業ソリューション事業部 モビリティ&マニュファクチャリング本部 モビリティ技術開発部 主管技師の山下利夫氏は、「スマートフォンによって集められたセンサーデータを、車速などの各パラメーターに定量化するところまでをデロイトトーマツのアルゴリズムで行い、それをビッグデータとして日立のAIが機械学習し、運転診断や事故の起こりやすさをAIのロジックで判断します」と説明する。

また今後は、保険会社以外の分野においても、安全運転や燃費改善など、テレマティクス利用が見込まれるサービスの拡充を図っていく。

欧米では普及が始まっているテレマティクス保険だが、日本ではまだ事例はごく少ない。現状は、走行データと事故率の因果関係を特定し、保険商品として認可を得ようとしている段階だ。

3大メガ損保のうち、三井住友海上はYahoo!と提携し『Yahoo!カーナビ』に運転診断機能を提供しており、また損保ジャパン日本興亜も同様に、ナビタイムジャパンのカーナビ機能を利用したアプリ『ポータブルスマイリングロード』を提供し、走行データの収集・解析を図っている。

そのような状況のなか、カーナビ機能といった強い訴求力を持たない今回のD-rive GOが、どこまでユーザーを獲得するか、注目される。

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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