只見線の会津川口~只見間「上下分離」条件に復旧へ…JR東日本と福島県が基本合意

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只見線の第5只見川橋りょう(193.3m)。2011年7月の豪雨で橋桁が約25m流失した。
  • 只見線の第5只見川橋りょう(193.3m)。2011年7月の豪雨で橋桁が約25m流失した。

JR東日本は6月19日、2011年の水害で運休が続く只見線の会津川口(福島県金山町)~只見(只見町)間27.6kmの復旧に向け、福島県と基本合意書・覚書を締結した。福島県が復旧費用の3分の2を負担するほか、復旧後は「上下分離方式」により運営する。

基本合意書などの概要によると、運休区間の鉄道施設の復旧工事はJR東日本が実施。復旧費用の3分の2を福島県が負担し、残り3分の1はJR東日本が負担する。JR東日本は2016年11月、復旧には81億円の費用と約3年の工期が必要との試算を公表しており、福島県の負担額は約54億円になる。

復旧工事の完了後、JR東日本は営業運転再開までに鉄道施設などを福島県に無償で譲渡する。これにより、上下分離方式の経営体制に移行。福島県は運休区間の鉄道施設などを保有する第三種鉄道事業者になり、JR東日本は福島県に線路使用料を支払って列車を運行する第二種鉄道事業者になる。ただし、JR東日本が使用料を支払うことで運休区間の収支が赤字にならないよう、福島県は使用料の減免を行う。車両はJR東日本が保有し、運行本数は運休前の1日あたり3往復を基本にする。

このほか、福島県は「運休区間以外を含めた只見線全線の厳しい利用状況を理解し、持続可能な運営に向け、JR東日本とともに主体的に只見線の利用を促進」するものとした。

只見線は、磐越西線の会津若松駅(会津若松市)と上越線の小出駅(新潟県魚沼市)を結ぶ135.2kmのローカル線。中間の会津川口~只見間は2011年7月の水害で橋りょうが流出するなどの大きな被害が発生し、現在もバスによる代行輸送が続いている。

只見線の1日の平均通過人員は、分割民営化後の1988年度が634人。その後しばらくは600人台で推移していたが、1994年度からは減少が続き、水害発生前の2010年度は370人だった。このうち会津川口~只見間は1988年度の184人に対し、2010年度は49人まで落ち込んでいる。JR東日本はこれまで、運休区間をバス転換する意向を福島県や沿線市町村に示していた。

《草町義和》

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