文部科学大臣の諮問機関・文化審議会は6月16日、沖縄県営鉄道の与那原駅跡(沖縄県与那原町)を登録記念物(遺跡関係)に登録するよう答申した。
沖縄県営鉄道は、戦前の沖縄県が沖縄本島で運営していた鉄道。現在の那覇市内にあった那覇駅(沖縄都市モノレール線の旭橋駅付近)を中心に、与那原・嘉手納・糸満の3方向に路線が伸びていた。2本のレール幅(軌間)がJR在来線より狭い762mmの軽便鉄道で、地元では「ケービン」と呼ばれていた。1914年12月、最初の路線として与那原線の那覇~与那原間が開業した。
与那原駅の駅舎は木造平屋建てだったが、1931年には県営鉄道唯一の鉄筋コンクリート造平屋建ての駅舎に建て替えられた。第二次世界大戦の沖縄戦で破壊されたが、終戦後はわずかに残った壁や柱などを活用する形で与那原町役場が建設された。
役場の建物は後にJA与那原支店を経て解体されたが、2015年には旧駅舎の姿を復元した「軽便与那原駅舎展示資料館」がオープン。その際、駅舎の柱の保存と公開を図る措置が取られた。また、展示資料館の建設時にレールや犬くぎなどの遺構も見つかっている。文化審議会は「近代沖縄における鉄道を中心とした交通の歴史を知る上で意義深い」とし、与那原駅跡を国の登録記念物に登録するよう答申した。