「日本最古級」気動車を守れ…旧別府鉄道キハ2の修復支援を募集中

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JR北海道苗穂工場で保存されている旧鉄道省キハニ5000形や、新潟県の「くびき野レールパーク」(新潟県上越市)で保存されている旧頸城鉄道ホジ3、長野県佐久市の成知公園で保存されているキハホニ56(元別府鉄道キハ3)と並ぶ「最古級の気動車」と言われるキハ2。手前の柵には荷物や自転車などを積んでいた。
  • JR北海道苗穂工場で保存されている旧鉄道省キハニ5000形や、新潟県の「くびき野レールパーク」(新潟県上越市)で保存されている旧頸城鉄道ホジ3、長野県佐久市の成知公園で保存されているキハホニ56(元別府鉄道キハ3)と並ぶ「最古級の気動車」と言われるキハ2。手前の柵には荷物や自転車などを積んでいた。

「日本最古級」と呼ばれる気動車・旧別府(べふ)鉄道キハ2の保存活動を行なっている有志団体「旧別府鉄道キハ2号を守る会」は、インターネット募金(クラウドファンディング)を通して、キハ2の保存・修復活動への支援を呼びかけている。

別府鉄道は、別府港(加古川市)~土山(播磨町)間の土山線、野口(加古川市)~別府港間の野口線からなる、兵庫県内の非電化ローカル私鉄だった。

別府港から肥料を積み出す目的で、1921年9月に別府軽便鉄道として野口線が、1923年3月には土山線が開業。1946年2月に別府鉄道に改称した。

土山では国鉄山陽本線と、野口では1984年12月に廃止された加古川~高砂間の国鉄高砂線と連絡していたが、東西の往来が主体の京阪神圏の鉄道にあって、南北に往来する別府鉄道では旅客営業が振るわず、頼みの綱の貨物営業も国鉄末期の貨物営業縮小に伴い影響を受け、1984年2月に廃止された。

しかし、別府鉄道は電化路線が主体の京阪神圏を走る鉄道であるにもかかわらず、戦前製の古典的な気動車がのんびりと走る路線として密かな人気があった。

その生き残りともいうべきキハ2は、1931年に三重県の三岐鉄道がキハ1形として導入した「ガソリンカー」と呼ばれる機械式気動車だった。

機械式気動車は、ディーゼルエンジンが常識となっている現代の気動車と異なり、マニュアルミッションの自動車と同じ原理で制御されていた。そのため、編成運転などには不向きで、1951年にはディーゼルエンジンに換装。1964年、キハ1形5(キハ5)が別府鉄道に入線した際にキハ2(2代目)となり、エンジンが再度換装されている。

キハ2は野口線で運用され、廃止後は加古川市野口町の円長寺駅跡に静態保存されていた。しかし、鉄道廃止からおよそ30年が経過して痛みが激しくなり、親族が住んでいた関係で別府鉄道を幼い頃から見てきたという誉田(こんだ)勝さん(旧別府鉄道キハ2号を守る会代表)の呼びかけで、2013年11月に清掃イベントが開催された。

以来、有志で錆落としや再塗装などを地道に行なってきたが、溶接や車輪の整備、窓枠の修復といった作業は専門知識とプロの技術が必要で、素人の手に負えるものではないことから、永久保存へ向けての資金集めなどを目的に、2015年、「旧別府鉄道キハ2号を守る会」が発足した。

現在、雨漏りの影響で車両内外の劣化が激しくなってきたことから、早急に屋根の防水作業や車体・外装の板金・防錆に取りかかたいとしており、インターネット募金では、その費用として目標金額を170万円に設定している。

2017年度中には永久保存ができるレベルにしたいということで、将来的にはエンジンを再生させることも考えているという。

インターネット募金は、Readyforのクラウドファンディングサイトで受け付けており、6月1日時点で51人の支援者から74万6000円の金額が集まっている。締切は6月28日23時まで。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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