信号機老朽化問題、昨年全国で496基を撤去...警察庁

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  • この50年で20倍、約21万基の信号機が全国にある

笹子トンネル天井板崩落事故以来、道路やトンネルの老朽化が問題となったが、警察庁でも同じ問題を抱えていた。

「信号機の灯火異常が発生するなど、交通安全施設等の老朽化が進んでおり、その的確な維持管理が課題になっている」

坂口正芳警察庁長官がこの春の全国交通部長会議の挨拶で、交通事故分析、子供や高齢者事故防止と共に、都道府県警察に注意を促したのが、信号機の老朽化対策だ。

坂口氏は「約21万基の約2割りが更新基準を超え」と指摘し、中長期的な視点での整備を促した。

信号機の設置は、過去50年間で20倍に増加。年間8848基(1972年)の設置をピークに、毎年7000基~2000機の設置を行ってきた。設置が1000基を切ったのは、2014年以降のことだ。全国の警察は、これらの設備の切り替えを行っていく必要がある。

同庁交通規制課によると、信号機の信号柱は設置されば場所により劣化にばらつきがあるため更新基準を定めていないが、信号制御機の更新基準は19年。約4万3000基が老朽化しているという。

昨年8月、滋賀県では信号機の誤作動が原因となった交差点内での衝突事故が起きた。誤作動は更新期を過ぎた老朽化だった。信号機の更新は都道府県の予算だが、十分な手当ができていないのが現実だ。

そのため一方で、警察庁は設置された信号機の見直しも指示する。新たな幹線道路の開通や、大型商業施設の移転で交通量が減少した場所や、学校の移転や廃校で歩行者が少なるくなる場所にある信号機がその対象だ。

「都道府県警察によれば、今年2月の調査で2016年度中の信号機の撤去数は496基、移設数は60基」(交通規制課)

必要性の低くなった信号機は「信号無視を誘発するほか、自動車等を不要に停止させ遅れ時間を増加させるなど、交通の安全と円滑に支障を恐れがある」(前同)という考え方だ。

事故防止のために信号機を求める住民は多い。管理する都道府県警察は、道路利用者の意見徴取と撤去の理解を得ながら、道路同様、信号機でも既存施設の有効利用を図っていかなければならない。

《中島みなみ》

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