大阪府内のモノレールを運営している大阪高速鉄道(大阪モノレール)は5月18日、同社が保有している営業用の車両に「非常用脱出シューター」を搭載すると発表した。車両が走行できなくなった場合の乗客の救出時間を短縮する。
発表によると、今回導入する非常用脱出シューターは、消防法認定のビル用避難器具を改良したもの。車両の窓から地上へシューター部分を投下し、乗客は筒状のシューター内部をらせん状に滑り降りる。
列車が大規模地震や長時間の停電などにより駅間で走行不能となった場合、別の列車(救援列車)を連結して近くの駅までけん引したり、あるいは乗客を救援列車に乗り移させて救出する方法がある。救援列車を用意できない場合は乗客をその場で車外に出し、線路などを歩かせる。
しかし、地上から高い位置に幅の狭い軌道桁が設置されているモノレールでは、駅のホームがない場所で乗客を車外に出すことが実質不可能だ。駅間で走れなくなり救援列車も用意できない場合、消防用のはしご車やロープを使った緩降機で乗客を救出する。
大阪モノレールの車両には、以前から非常時の脱出用として緩降器が搭載されている。地上からの高さが15mの場合、現在の緩降器による降下速度は1.0m/sだが、新たに導入する脱出シューターは倍以上の2.0~2.5m/sに。降下の間隔も緩降器の15秒に対し脱出シューターは2秒と大幅に短縮される。救出能率は緩降器の約15倍という。
脱出シューターは4両編成のうち両端の先頭車2両に搭載される。本年度は5編成に搭載し、2021年度中に全ての編成への搭載が完了する予定だ。