グローバルメガサプライヤーの一角であるドイツのZFは1月4日、CESのプレス向けイベントで、NVIDIAとの戦略的提携による自動運転用AIシステム「Pro AI」を発表した。
プレゼンテーションにはZFのシュテファン・ゾンマーCEOと、NVIDIAのロブ・チョンゴール ヴァイスプレジデントが登壇した。
これはNVIDIAの車載AI向けプラットフォーム「DRIVE PX 2」に、ZFの自動運転用AI「ProAI」を搭載したもので、自動運転を実現するために欠かせないパーツとして市場に提供される。量産は2018年以降の予定。乗用車だけでなく、トラックおよび産業用機械も対象となる。
NVIDIAのSoC(システムオンチップ)は、AIのプラットフォームとして、その性能の高さで世界中の市場を席捲している。しかし車載向けに関しては、オランダのNXPや日本のルネサスエレクトロニクスなど、数多くの車載納入実績のあるSoCサプライヤーが大きなシェアを持っており、実績の面でNVIDIAはまだこれからだ。
自動車メーカーは、部品の調達に関して実績を非常に重要視する。先般のタカタのリコールの例を挙げるまでもなく、部品の瑕疵がビジネスに深刻な影響を与えるためだ。その点で、NVIDIAにとって今回のProAIは大きな意味を持つ。実績豊富なメガサプライヤーのプロダクトであれば、自動車メーカーも買いやすいからだ。
自動運転を実現するための”目”となるセンシングデバイスは具体化が進んでいるのに比べ、”頭脳”となるAIは、まだ具体像が浮かばない。ZFとNVIDIAの提携のほかにも、デンソーとNECの協業や、BMW・インテル・モービルアイの提携など、各社の動きが活発になっている領域だ。