トヨタ、品種改良を効率化する新規DNA解析技術を開発

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トヨタ自動車本社(参考画像)
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トヨタ自動車は9月21日、作物の品種改良に必要な遺伝子の特定・選抜を飛躍的に効率化できるDNA解析技術GRAS(Genotyping by Random Amplicon Sequencing)を新たに開発したと発表した。

新技術は、農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センター(農研機構)からの解析材料の提供を受け、トヨタが新たに開発したもの。同社では、作物の品種改良期間が大幅に短縮され、またそのコストも大幅に改善できると考えている。

トヨタは、持続可能な社会の実現に向け、車両の燃費向上に加え、バイオ関連事業にも取り組んでいる。自動車事業で培った生産管理手法や工程改善ノウハウを応用した農業IT管理ツール「豊作計画」を開発・提供しているほか、バイオ燃料に適しているサトウキビの増産に向けた技術開発にも取り組んできた。

品種改良は従来、過去の膨大な実績に基づき品種を選定・交配し、長期間多数の子孫を評価することで、目的の特性を有する子孫を新品種として選抜していた。近年は、遺伝子情報を利用した「マーカー技術」が実用化され、品種改良の効率化が進められているが、DNAの解析期間が長く高コストという課題が残っていた。

トヨタは「独自のサンプル調整技術」と「次世代シーケンサー」を組み合わせることで、有用な遺伝子の特定・選抜を大幅に簡略化する技術(GRAS)を新たに開発。新技術を用いることで、従来比約1/10の期間、約1/3のコストでDNAの解析が可能になった。これにより、バイオマス生産性や耐病性の向上によって、サトウキビの増産、単位面積あたりのバイオ燃料生産量向上が可能になるものと期待している。

新技術は、バイオ燃料の増産だけでなく、食糧増産や耐病性向上にもつながる社会的に意義のある技術であると期待しており、農業分野への応用も視野に、情報開示・提供に積極的に対応していく。すでに、DNA解析で実績が豊富なかずさDNA研究所とは、技術評価を実施することで合意している。

《纐纈敏也@DAYS》

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