車重700kgで200馬力、英国からゼノス E10 上陸「個性育てたい」

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英国からZENOS E10上陸!
  • 英国からZENOS E10上陸!
  • 英国からZENOS E10上陸!
  • フォードの直噴4気筒2.0lエンジンをミッドシップ。
  • 外板パネルなどにはリサイクルカーボンが使用される。コスト圧縮とエコロジーという理由に加え、強度的にも有利だという。
  • 何よりも身軽であること。それがこのクルマの最大の価値だ。
  • サスペンションのストロークも十分。ワインディングロードとの対話もこのクルマの楽しみの一つ。
  • 一見奇抜なデザインだが、後方視界も良好で死角は少ない。また風の巻き込みもかなり抑えられている。
  • 軽いスナップでシフトチェンジさせながら走るのはとても愉しいもの。

ロータスやケーターハムなど、バックヤードビルダーと呼ばれる小さな工房で生まれるスポーツカーは、いわばイギリスのお家芸と言ってもいいだろう。英国のライトウェイトスポーツカーZENOS(ゼノス)『E10』もまさにそんなクルマの一台である。

非常に新しいメーカーの手で作られたこのクルマ、車重700kgに対して、ミッドシップのフォード製直列4気筒直噴エンジンは200馬力を発生する。そのスペックを見ただけでもわくわくさせる要素十分だ。ちなみにこの後日本にやってくるという『E10S』に至っては250馬力を発生するという。そんなクルマがこのほど日本にも上陸し、早速箱根でお披露目されるということで、その機会に立ち会った。

販売を手がけるグループ・エム ゼノス事業部の甲斐氏曰く「少しでも皆さんに知っていただく機会を作りたかった」との事で、知人のライター経由で誘われ、この機会に立ち会うことができた。こうした話題の広がり方もバックヤードビルダーのスポーツカーらしい。

私たちの前に現れたゼノスE10は、黒と赤の2トーンの斬新なデザインをまとっている。「バックヤードビルダー生まれの軽量ハイパワー」という古風なキャラクターながら、実際のこのクルマを取り巻く考え方には端々にモダンなセンスを感じさせる。メインフレームには押出成型によるアルミニウム製のものを採用し、ハニカム構造のドライカーボンコンポジットを用いたコックピットも、ピュアレーシングの世界へと誘う。ただし外板部分には、積極的にリサイクルカーボンを使用し、万が一交換を要する場合もコストを抑えるとともに、ファストフード店から出たストローを挟み込んだカーボンパネルだから成し得る強度を有するなど、単なる再利用にとどまらない機能的優位性を兼ね備えたエコロジーな一面も持っているなど、新時代のスポーツカーにふさわしい内容になっている。

それでも、ブレーキはノンサーボ。そしてもともとはサイドウィンドウやドアはおろか、ウィンドスクリーンも装着されず、オプションだというから、その走ることに徹底した成り立ちには、古きスパルタンなイギリスのライトウェイトスポーツらしい頑なな一面も残す。

しかし、一見近寄りがたさすら感じさせるスペックながら、その軽さはクラッチをつなぎ始めた瞬間に全身で感じ取ることができる。そして大きなトルクはこのクルマを走らせるための必須要件ではなく、すべて身軽さを表現するために振り向けられていることを、乗ればたちまち感じ取ることができる。箱根のヒルクライムを5速のまま加速させていくことも可能なほどの、扱いやすさも見せる。

さらにこのクルマのパフォーマンスは、このキャッチーなパワーウェイトレシオにとどまらない。フォーミュラマシンに匹敵するロングアーム・ダブルウイッシュボーンと、プッシュロッドによるインボードレイアウトで、かなり自由度の高いストロークはあくまでも路面に吸い付くように駆け抜ける。

オプションのフロントウィンドウの効果は絶大で、風の巻き込みも思いの外少ない。勇ましい音、軽量化と引き換えになっているであろう振動は賑やかで、洗練とは対極にあるクルマであることは間違いないが、乗れば自然と会話しながら、ワインディングロードと直接対話できるようなダイレクトというか、何にも遮られることのない感覚は、ついイイ歳の大人でも笑みがこぼれてしまう、そんな魅力を持っている。

こんな感想を前述の甲斐氏に話したところ「まさにそういう個性をこれから一人でも多くの方に味わっていただきたいのです。日本からのオーダーもすでに相当数入っているのですが、同時に様々なフィードバックもメーカーに申し入れています。まだまだ黎明期のスポーツカーだからこそ、もちろん荒削りな部分もありますが、そんな若々しい未完成な部分を肌で感じつつ、親になったつもりで一緒に育てていっていただけたら何よりです」と語った。

《中込健太郎》

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