終列車は9時40分発、札沼線新十津川駅が日本一終発の早い駅に…2016年3月のJRダイヤ改正

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列車の発着が1回だけになった新十津川駅の時刻表。末期は旅客列車が1往復だけとなり、1984年に廃止された国鉄清水港線(清水~三保間)を彷彿させる。
  • 列車の発着が1回だけになった新十津川駅の時刻表。末期は旅客列車が1往復だけとなり、1984年に廃止された国鉄清水港線(清水~三保間)を彷彿させる。
  • 新十津川発の終列車となる5426Dでは、地元有志による運転士への花束贈呈も。
  • 新十津川駅を後にする石狩当別行き5426D。この後は臨時列車が設定されない限り、1本の列車も発着しない。
  • 終列車が出た後の新十津川駅。改正前も改正後も駅の様子に変化はない。
  • 夜に新十津川駅を発車する列車としては最後となった改正前の石狩当別行き5434D。
  • 5434D発車前に地元有志からいただいた到達証明書。額付きの立派なものだ。
  • 札沼線グッズを販売している新十津川駅前の飲食店「寺子屋」。町の活性化のため、2年ほど前に開店したという。
  • 「寺子屋」の店内には「一日一本の終着駅」スタンプが置かれている。
北海道新幹線の開業に最大の注目が集まった2016年3月のJRダイヤ改正。そのなかで、ある日本一の座が北海道のローカル駅に移った。函館本線の桑園(札幌市中央区)から分岐するJR北海道札沼線の終点・新十津川(樺戸郡新十津川町)が、日本一終発が早い駅となったのだ。

日本一終発が早い駅としては、1月31日付けで廃止された阪堺電気軌道上町線の住吉公園駅(大阪市住吉区)が大きな話題を呼んだが、今回のJRダイヤ改正ではそのタイトルが一気に津軽海峡を越えて、北海道に渡った形となった。日本一早い新たな終発時刻は9時40分。石狩当別(石狩郡当別町)を7時45分に発車する5425Dの折返し列車となる5426Dが終列車となる。住吉公園駅の場合は8時24分(土休日は8時32分)が終発だったので、それよりも1時間以上遅い時間ではあるものの、盲腸線の終端駅で午前中に終発となる点は共通している。臨時列車が運行されない限り、終列車が出ればその日は1本も列車が発着しない。

新十津川駅がある札沼線は、桑園~北海道医療大学(石狩郡当別町)間が電化・一部複線化されているものの、北海道医療大学~新十津川間は単線・非電化で、改正前はキハ40形による普通列車が下り8本・上り7本設定されていた。改正後もこの本数に変化はないが、浦臼~新十津川間では、12~13時台に運行する5427D~5428Dと18~19時台に運行する5433D~5434Dが廃止となり、残るは9~10時台に運行する5425D~5426Dのみとなった。25日の終列車となった新十津川19時22分発石狩当別行き5434Dには、地元から大勢の見送り客が集まり、額付きの「日本一かわいい終着駅到達証明書」の配布などが行われた。浦臼~新十津川間における夜の運行はこの列車が最後となった。

翌26日には、終列車となる新十津川9時40分発5426Dにも大勢の見送り客が集まり、セレモニーはなかったものの、地元有志による花束贈呈などが行われている。「日本一早い終列車の停まる秘境駅に到達したことを証明します」と書かれた到達証明書も配布されたが、こちらは当面の間、新十津川町の役場でも配布するという。また、駅前の「寺小屋」という飲食店では、「一日一本の終着駅」の到着記念証明書や来駅記念ポストカードなどの札沼線関連グッズを販売しており、人気を集めている。

終列車が出ても、住吉公園駅のように看板が出ることはなく、ひっそりと元の静かな駅に戻るだけだった。夏の観光シーズンには、駅前で地元の特産品販売やポニーの放牧といったイベントが行われる予定になっており、列車が来ない間も駅はにぎやかなシーンに包まれるようだ。なお、終列車後の新十津川駅へは、JR滝川駅に隣接する北海道中央バス滝川ターミナルから新十津川役場行きバスに乗り終点で下車、バス停から徒歩7分程度で到達できる。

JR北海道が2月10日に公表した線区別の収支状況によると、札沼線北海道医療大学~新十津川間の営業係数(100円の営業収益を得るために必要な営業費用の指数)は本社計画部門などの管理費を含めて2162円となっており、4554円となっている留萌線留萌~増毛間に次ぐ収支の悪さとなっている。同じ札沼線でも電化されている桑園~北海道医療大学間は107円で、数字の上ではJR北海道の在来線のなかで最優良だ。同じ路線でもこのように収支に極端な差があっては、もはや別の路線と言ってもよく、とくに浦臼~新十津川間の途中駅は1日平均の乗車人員が1人以下のため、極端に利用の少ない駅とされている。廃止が取り沙汰されている留萌線留萌~増毛間もほぼ同レベルにあるだけに、浦臼~新十津川間も廃止の危機に立たされていたが、新十津川町など地元有力者の働きかけもあり、廃止はかろうじて免れたという。
《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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