【アウディ A4 クワトロスポーツ 試乗】見るのと乗るのとでは大違い…中村孝仁

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アウディ A4 クワトロスポーツ
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新しいアウディ『A4』は、そのあまり変わり映えのしない外観とは裏腹に、実際に乗ってみると旧型とはまるで違うことがよくわかるクルマである。

試乗会場で実は最初に乗ったのはこのクワトロの方。クルマを渡されて、どこもいじらずにそのまま乗り出した。その印象は、うーんやっぱり引き締まったというかずいぶんと硬いなぁ…というのが第一印象。しかし、モードセットはダイナミックとなっていて、さらにこれがスポーツという仕様であることを認識していなかった結果である。

まずスポーツという仕様についてお話ししよう。大きな違いはスポーツサスペンションを装備していることで、地上高、車高それぞれ20mm引き下げられている。引き締まって硬いと感じた理由がこれだ。次に外観ではシングルフレームグリルの横バーがすべてクローム仕上げとなっている点。ノーマルと写真を見比べてみたら、確かに普通のA4はグリル内のバーは艶消し黒だった。そして左右に張り出したエアインテークもサイズは変わらなそうだが、より立体的に作られ、ガーニーフラップ的というかF1ノーズ的というか、とにかく空力を考慮した造形とされている。これはS-ラインバンパーと呼ばれるもので、S-ラインパッケージとして装備されるものだった。勿論ホイールはワンサイズ大型化され、装着タイヤもノーマルの205/60R16から、225/50R17へと引き上げられていた。ただし試乗車はオプションのホイール。標準装着のホイールはデザインが異なるが、サイズは一緒だ。

クルマを止めてじっくりとあちこちをいじってみると、ドライブセレクトに行きついた。エフィシェンシー、コンフォート、オート、ダイナミック、それにインディビデュアルから好みのモードを選べるのだが、乗り出しでこいつがダイナミックに設定されていたことが判明した。因みに広報担当者によれば、デフォルトはないらしく、乗り出した時はそれ以前に設定していたモードが反映されるらしい。

だから、挙動がキビキビして乗り心地が硬かったわけである。エンジンはFWD仕様よりもパワフルな252ps、370Nmを発揮するもの。勿論サイズはFWDと同じ2リットルターボ、デュアルインジェクションユニットである。デュアルインジェクションとは、直噴のインジェクターの他に従来同様ポートに噴射するインジェクターを持つ仕組み。日産などのデュアルインジェクションのように2つの吸気管に個別のインジェクターで吹くシステムとは異なるもので、低負荷時にはポート噴射。高負荷時には直噴に切り替わるものである。VW系のエンジンではこのシステムが多く出回っている。

重量はFWDに比べると120kg重いが、このパフォーマンスはそんなものはものともしない。だから、ストレートの加速を見る限りはこちらの方が力強い。一方で細かいコーナーをひらひらとこなすようなシーンでは、全体的にフリクションが少なく軽いFWDに軍配が上がり、同じA4でもクワトロは一クラス上の重厚感のある乗り味を持っている。

そのクワトロシステム。最近のオンデマンド方式とは異なり、トルク配分は通常状態で40:60。つまり、常に前後のホイールにトルクが配分されるものとなっている。そして路面状況によってその配分を70:30~15:85まで可変させる仕組みになっている。長年培ってきた4WD技術はこうしたところに活かされ、その強みこそがアウディの強みだと言っても過言ではない。

というわけで個人的に要らないっちゃ要らない4WDシステムだが、アウディに乗るならやっぱりこっちがお勧めかな、というところ。単純にFWDをチョイスすると、走りという点ではFRのライバルの方が面白いし…。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁|AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メ
カを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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