国土交通省は貸切バス事業者の運賃・料金について、専用の窓口を設置して事業者からの通報を受け付ける。専用窓口を自動車局に設置することで、一般的な行政機関の広聴活動とは違った貸切バス運賃専門の是正を促す。
貸切バス運賃は「時間・キロ(距離)併用制運賃」で割り出した法定の料金幅がある。これを下回る「下限割れ料金」で運行する事業者の実態について、提供された情報に基づき、場合によっては特別監査を実施する。
また、貸切バス事業者と旅行業者は運送に関する書面を取り交わして保管する義務がある。従来はその書面には契約料金だけが記載されていたが、この様式を変更。個別契約運賃のほかに所要時間と走行距離で割り出した上限と下限の料金幅を記入させ、双方が適正運賃であることを認識できるようにする。あわせて迅速な監査にも役立てる。
さらに観光庁は、日本バス協会、全国旅行業協会、日本旅行業協会に対して、貸切バスとの契約に関する手数料などの通報対応組織を共同で設置するよう働きかける。貸切バスの契約運賃は適法であっても、主に旅行業者が貸切バス事業者に要求する手数料を考慮すると、実質的な下限割れ料金となっている契約があるためだ。
通報対応組織では通報を受けた場合に、これらの手数料が安全運行の妨げになっていないか、妥当性があるかを、独立性の高い弁護士などの専門家に検討を委ねる。適法性を欠く実質上の下限割れ料金については、自動車局に設置された通報窓口に連絡する。手数料そのものは、道路運送車両法の運賃規定でも規制されていないことに配慮した。