【ジャガー XE 試乗】ドイツ御三家と真っ向から戦える“真正”ジャガー…青山尚暉

試乗記 輸入車
ジャガーXE 3.0S
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  • ジャガー XE S
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ジャガー『XE』を、福島のワインディングロードを中心に試乗した。

最初にステアリングを握ったのはXE 2.5 ポートフォリオで、その直後に乗ったのがこのXEシリーズ最上級の3.0 Sである。エンジンはポートフォリオの2リットル直4ターボからシリーズ最強唯一の3リットルV6スーパーチャージャー、340psになり、価格は769万円と、ポートフォリオより145万円高い価格設定だ。

試乗車はさらにOPの20インチタイヤ(ピレリP ZERO F 235/35R20 R 265/30R20)を装着。フェンダーとタイヤのクリアランスはギリギリで、ホイールデザイン、佇まいのカッコ良さはハンパではない。

加速力はほとんどスポーツカー並みである。そして直前に乗ったポートフォリオに対して感覚的にもっとも異なるのは、ズバリ、走りの質の高い“軽さ”だった(とてもいい意味で)。

このパワーユニットは『Fタイプ』にも採用されているが、こちらはジェントルな出力特性、サウンドへのチューニングが施されている。アクセルオフでレーシングカーばりのバリバリしたサウンドを放つこともない。とはいえ、パワーフィールは極上かつ圧巻。軽やかに平和に、しかし恐ろしいほど速く、強烈に速度を上げる。

20インチタイヤを履いていても足回りの動きは軽快かつしなやかで角がなく、巨大なタイヤ&ホイールの重さなどみじんも感じさせない。圧巻のパワー、速さを確実に受け止める高剛性ボディーと足回りによって、ポートフォリオ以上の人車一体感、路面、天候に左右されにくいタイヤの濃密な接地感、圧倒的なスタビリティ、快感の操縦感覚を味あわせてくれたのだ。

だから一般的なドライビングスキルの持ち主ならば、山道でもその運転のしやすさ、曲がりやすさ、信頼感の高さから、スポーツジャガーのFタイプとのハイスピードなランデブー走行も楽々容易にこなせそう…と思えたのも本当だ。つまり、それぐらい終始、緊張感なくリラックスして走れるということだ。

ところで、ジャガーは円熟した大人になってから乗るべき英国車…というイメージが少なからずある。たしかにボクの回りでも60歳をすぎてから、ずっとあこがれだったジャガーサルーンを手に入れた人がいる。しかしXEにそんな遠慮は不要だ。サイズ、クラスというより、新生ジャガーの、デザインの若々しさがそう感じさせるのだと思う。そして輸入Dセグメントでドイツ御三家と真っ向から戦える“真正”ジャガーでもある。

240psのポートフォリオと340psのS、どちらも日本の路上では持て余すほど速いが、速さの質はまったく別種のもの。新世代ジャガーネスの魅力はどちらも変わりなく、もうあとは好みでしかないと思える選択である。とはいえひとつの指針として、古くからのジャガーファンのダウンサイジングならS、それ以外の人ならポートフォリオ(または200ps、477万円からのピュア)かなぁと思ったりする。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行なっている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《青山尚暉》

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