岳南電車、沿線施設への電力供給を検討へ

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4者が提案した電力供給の模式図。岳南電車の設備を使って沿線に電力を供給する。
  • 4者が提案した電力供給の模式図。岳南電車の設備を使って沿線に電力を供給する。
  • 岳南電車は富士市内の吉原~岳南江尾間を結ぶ鉄道路線を運営。貨物列車の廃止で経営が悪化している。
  • 沿線は工場が多く、熱需要も多い。

岳南電車・富士市・日本電気(NEC)・ヒラテ技研の4者はこのほど、岳南電車の設備を使った電力供給事業の提案について、新エネルギー導入促進協議会から事業化可能性調査の採択を受けたと発表した。

岳南電車は、吉原~岳南江尾間(静岡県富士市)9.2kmの鉄道路線を運営する鉄道会社。沿線は製紙工場が多く、工場で生産された紙製品を輸送するための貨物列車も運行されていたが、2012年に廃止された。旅客列車の輸送密度(2012年度)は856人でで、ピーク時の7分の1まで落ち込んでおり、経営が悪化している。

4者の提案の概要によると、富士市内の産業の特徴である熱需要の多い点を活用。熱電供給システム(コージェネレーション)などで発生した熱を工場で使用し、発電した電気は岳南電車の鉄道施設に整備する電力自営線によって、沿線の工場やビル、商業施設、集合住宅などに配電する。鉄道施設を使用することで、設置コストの削減や断線リスクの軽減といったメリットがあるという。

4者は今後、これにより安価で安定した電力供給事業が行えるかどうか検討する。実現すれば「沿線の活性化につながり、(岳南電車の)旅客の増加も期待できます」としている。

《草町義和》

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