中国山地の山あいに、1991年のル・マンを制したロータリーの快音が響く。「三次試験場50周年マツダファンミーティング」では、おむすび型の高速周回路をル・マン優勝車の『787B』55号車や、1960年代に生まれた『R360クーペ』などの歴代のマツダ車が次々と走った。
カエルやヒヨドリの声が聞こえてくる静かな試験場に、4つのローターが組み合わさったR26Bエンジン(総排気量2.6リットル)の甲高い音が響き渡ったのは、イベントの終盤、15時ごろ。68歳のミスタールマンこと寺田陽次郎氏が駆る55号車は、高速周回路につめかけたマツダファンに、その圧倒的パフォーマンスを見せてくれた。
1970年代に登場した『サバンナ』に乗ってこのテストコースにやってきた70代の男性は、「還暦過ぎのドライビングとはとても思えない」と笑い、ごう音とともにあっという間に過ぎ去る55号車に両手を振り、その走りを称えていた。
いっぽう、マツダがロータリーエンジンを手がける前につくった旧車たちも元気。1960年代に生まれたオート3輪『K360』や、『R360クーペ』も、空冷V型2気筒エンジンの軽快で心地よいサウンドを放ちながらトコトコと走っていた。
イベントの最後、高速周回路をゆっくりと行く参加者たちに、「いってらっしゃい!」と声をかけていたスタッフは、「クルマの年式や大小、参加者たちの年齢層や家族構成など、千差万別だったけど、こんなに盛り上がったのは初めて。またこういう機会があればいい」と話していた。
■高速周回路を走るル・マン優勝車『787B』55号車
■旧車たちのエンジン音