ただでさえ先進的な装備を満載にするBMW Motorrad。その最上級ラグジュアリーツアラーというだけあって、装備内容はとことん豪華だ。
ハイテク装備が苦手な人はインストルメントパネルを見ただけで目眩がするだろうし、この手の電子装置が好きな人には垂涎ものだろう。画面上で各種機能を設定できるほか、平均速度や外気温、ストップウォッチ、トラベルタイム、オイルレベル、平均燃費、走行可能距離など従来のオートバイではあり得ないほどの情報が得られる。
イグニッションオンは、従来キーシリンダーがあった場所にあるスイッチを押すだけ。4輪ではお馴染みのキーレスシステムだが、オートバイではまだまだ一部上級モデルにしか採用されておらず、ハンドルロックをはじめ、フューエルリッドやラゲッジケースのロックとも連動している。
そのまま走り出してもいいが、メニューボタンを押せば各種機能をきめ細かく設定できる。「プリロード」「減衰力」「走行モード」の3項目でそれぞれ3つずつモードが用意され、サスペンションのセッティングとエンジンの出力特性を状況に応じて自分の好みで決められる。
「1人乗り」「1人乗り+荷物」「2人乗り」からプリロードの設定を選び、減衰力は「Comfort」「Normal」「Sports」、走行モードも「RAIN」「ROAD」「DYNAMIC」の3つからチョイスする。
常に曲がった先を照らしてくれている「アダプティブヘッドライト」は二輪車初の装備で、車体の傾きを感知することで反射ミラーを動かす先進機能は、特に夜間走行時などで安全性を飛躍的に向上した。
「ヒルスタートコントロール」も素晴らしい。停止後に再度ブレーキレバーを握り込めば、リアキャリパーが作動し、停止状態をキープ。クラッチを繋ぎ前進し始める瞬間に解除されるから、急な坂道でもスムーズにストップ&ゴーができる。
ブレーキをリリースしても車体が不用意に動かないのは、大柄な車体となった K1600GTL Exclusive のようなビッグツアラーには、じつにありがたい。
搭載される並列6気筒エンジンは、低中回転ではジェントルに、もっと回せば強烈な加速が味わえ、走りそのものは豪快かつアグレシッブ。ハンドリングもその見た目とは裏腹に軽快で、ワインディングでもハイペースをキープできる。
クルーズコントロールや電動スクリーンが搭載され、ハイウェイクルージングも快適そのもの。グリップヒーターも標準装備し、ライダーは疲れ知らずのロングライドが楽しめる。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★★★
足着き:★★★
オススメ度:★★★★★
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のモーターサイクルカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説している。現在多くのバイク専門誌、一般誌、WEB媒体で活動中。