現地30日、翌日に迫ったルマン24時間レースの公式テストデーにおいて、TOYOTA GAZOO Racingの中嶋一貴がコクピットに復帰することが決まった。WEC(世界耐久選手権)の公式サイトが報じている。
今季は#1 TOYOTA TS040 HYBRIDでWECにフル参戦する予定だった一貴は、4月30日、WEC第2戦スパ・フランコルシャン戦のフリー走行中に雨中で大きなクラッシュに遭遇してしまった。脊椎の一部を骨折したとされる負傷で入院、スパ戦はもちろん欠場で、一貴は第3戦ルマン24時間(6月13~14日決勝)での実戦復帰を目指すこととなる(5月23~24日のスーパーフォーミュラ岡山戦は欠場)。
不幸中の幸いだったのは神経系の損傷がなかったとされることで、比較的早い段階から一貴はほぼ自由に動けるようになった模様。復帰に向けての医療的措置やリハビリは主に欧州での実施だったようだが、5月9日にはモナコで開催されたフォーミュラE第7戦を来訪する姿が確認されるなど、早期復帰が可能でありそうな様子が伝わってきていた(一部関係者によれば日本に帰ってきていた時期もあったらしい)。
フランス伝統のルマン24時間のレースウイークは6月第2週。そしてその前の5月31日にはルマン現地での公式テストデーがある。それに向けてのメディカルチェック関係を一貴がパスし、#1 TS040のコクピットに戻って、アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミとともにテストデーに臨むことが決まった、というのが今回報じられた内容だ。
中嶋一貴のコメント要旨(WEC公式サイトより)
「自分の早期復帰に関わってくれたすべての医療スタッフ、チームスタッフに最大限の感謝をしたい。本当に嬉しく思っている。アクシデントの直後から、自分自身のルマンへの情熱が自分をモチベートしてきており、今年のルマン(参戦、勝利)という夢がまだ保たれていることもすごく嬉しい。明日のテストでマシンに戻るのが待ち切れない気持ちだ」
公式テストで完調が確認されれば、ルマン本戦出場も間違いなく果たせるだろう。昨年のルマンではポールポジションを自らの手で獲得しながら、マシントラブルで無念のリタイアを喫した一貴。その雪辱を晴らし、自身とトヨタにとって初のルマン総合優勝なるかが注目される。
31日のルマン公式テストデーには、今年のルマン総合優勝を争うLMP1-Hクラスのメーカーワークス4陣営、トヨタ、アウディ、ポルシェ、そして同クラス新規参戦の日産が集まり、本番に向けての手合わせとなる見込み。一貴の復帰ともども、どういった勢力図が見えてくるかが楽しみである。