気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2015年5月29日付
●株10日連続上昇、27年3カ月ぶり(読売・1面)
●スカイマーク打診へ新社長に市江・政投銀常務(朝日・9面)
●自動車生産前年比8.1%減、4月海外は微増(朝日・9面)
●円安一時124円、中小・家計に逆風、輸出・観光には恩恵(毎日・1面)
●リコール新たに33万台、タカタ問題、ホンダ15車種、国内で(毎日・29面)
●DeNA、ベンチャーと合弁「無人タクシー」目指す(産経・10面)
●BMW・トヨタ共同開発車、投入は「遠くない将来」(産経・10面)
●トヨタ新型株に反対、議決権行使助言のISS株主総会での賛否が焦点(日経・11面)
●「ミライ」納車個人向け開始、トヨタの燃料電池車(日経・12面)
ひとくちコメント
「バブル期以来」といっても馴染みのない世代も増えているようだが、その恩恵を受けたシニア世代ならば、日産自動車の高級車が飛ぶように売れた「シーマ現象」という言葉を思い出す人もいるはずだ。
5月28日の東京株式市場は、日経平均株価が1988年2月に13日連続上昇して以来、約27年ぶりに10営業日続伸となった。終値は、前日比78円88銭高い2万0551円46銭。
一方、28日の東京外国為替市場も、米国景気の先行きに対する期待からドルを買って円を売る動きが加速し、円相場は一時、1ドル124円台まで値下がりした。2002年12月以来、12年半ぶりの円安ドル高の水準だそうだ。
きょうの各紙も「東証27年ぶり10日続伸、円安一時124円」(産経)などと、1面や経済面で大きく報じている。
このうち、朝日は「下がると思っても値が落ちない驚きの相場」として証券ディーラーのコメントを掲載。「市場には過熱感も広がっているが、株価の割安感や割高感を示す指標からは上昇余地があるとみられる」と伝えている。
株高の主因としては「円安は輸出にプラスに働くため、自動車や電機といった輸出関連株が買われた」とみられる。個別銘柄をみても、富士重工業をはじめ、日産自動車,スズキ、三菱自動車、デンソー、アイシンなども軒並み年初来高値を更新した。
また、日経は「歴史的な記録に近づきつつある」と煽るような表現で取り上げているが、円安の追い風に加えて「10日続伸の原動力は長期運用する海外投資家だ」と指摘。「政治や金融政策の先行きに安心感があるうえ、企業統治改などで日本株を再評価する動きが広がっている」とみている。
では、株高・円安の影響と先行きはどうか。読売は「企業好調賃上げ期待」「食品・飲料値上げ続く」と分析。株価については「上昇傾向は揺るぎないとの見方が多く、平均株価は年内に2万3000円に到達するとの声もある」(産経)という。
一方で加速する円安については、毎日が1面トップで「中小・家計に逆風」として「輸出をしている大企業はぬれ手にあわかもしれないが、下請けは厳しい」と、中小の機械部品メーカーの経営者の声を掲載。そのため息には身につまされる思いの人も少なくないだろう。