【ボッシュ Boxberg15】自動運転実験車両、テスラ「モデルS ボッシュ改」に試乗してわかったこと

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ボッシュが導入した最新の自動運転車はテスラモデルSがベース
  • ボッシュが導入した最新の自動運転車はテスラモデルSがベース
  • 自動運転車のテスト車両の製作には、1400時間の作業時間を要したという。モデルSには、50個のボッシュ製コンポーネントを装着。車線、交通標識、空きスペースを認識するために、ステレオビデオカメラも装備された。
  • 新しいテスト車両は、とくに正面から見た外観的には市販車のモデルSと一見したところ、区別がつかないほど。
  • ボッシュが導入した最新の自動運転車はテスラモデルSがベース
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ボッシュ・オートモーティブ(以下、ボッシュ)は、ドイツ・シュトゥットガルト郊外のボックスブルグ・テストコースで開催したインターナショナル・オートモーティブ・プレスブリーフィングBoxberg15において、自動運転車の新しいテスト車両として2台のEVを導入した、と発表した。

このEVは、米国テスラモーターズの『モデルS』をベースに開発。通常、自動運転車のテスト車両は、ルーフトップに測定装置やセンサー、各種機器類を搭載しているため、外観上、すぐに見分けが付くもの。しかし、新しいテスト車両は、とくに正面から見た外観的には市販車のモデルSと一見したところ、区別がつかないほど。

それでも、自動運転車のテスト車両の製作には、1400時間の作業時間を要したという。モデルSには、50個のボッシュ製コンポーネントを装着。車線、交通標識、空きスペースを認識するために、ステレオビデオカメラも装備された。

このボッシュ製のステレオビデオカメラは、現在市販のものとしては、世界最小。手のひらくらいの大きさに凝縮されている。車両に簡単に組み込むことが可能になった。この他、テスト車両には、1300mのケーブルと400個の固定用ケーブルタイを使用する。

ボッシュの最新テクノロジーを満載した自動運転のテスト車両。メディア向けの試乗は決められたテストコースで行われた。筆者も助手席で10分ほどの試乗コースを体験した。

車内に設置された12インチほどのモニターには、高度に採寸されたデジタルマップに現在の車両の位置、そして各種センサーから得られている外部状況が表示されている。グリーンで表示されているのはフェンスや木など固定された障害物。一方、イエローで点滅しながら移動するのは他車などの移動物体である。

ドライバーは基本的にアクセル、ブレーキ操作から解放され、ステアリングから手は放しているが、すぐに操作できる位置に常時手を添えている。実際に、コースアウトギリギリの進路を自動運転がとろうとしたときには、ドライバーはステアリング操作を介入した。加減速に比べて操舵の進化の余地はまだありそうだ。

モデルSはもともとは圧倒的な加速性能を誇るEVだが、ボッシュテストカーの自動運転モードでは極めてジェントル。急加速や急ブレーキのシーンはなかった。むしろゆっくり減速して停止する過程で自分たちパッセンジャーはなぜ減速するのかかわからない場合があった。前方車両が停止しているのを察知して早めのブレーキをかけていたのだ。この例が示すようにテストカーはかなり慎重なセッティングである。

これは正しいと思う。キビキビと運転するには、性能もさることながら、自動運転に対するパッセンジャーの信頼も必要になる。十二分に慎重に運転してくれることを前提としてドライバーは自動運転モードをONにできるのだと感じた。

一方で、混合交通における自動運転車両の問題点もここにあると連想した。前方を走っている車両が自動運転車両ならば、キビキビと運転する後続車両のドライバーはストレスを感じるだろう。ちょうど、教習車が前方を走っているイライラを思い出していただけると似ていると思う。

近い将来、自動運転車両との混合交通では必ずこの問題が生じる。パッセンジャーは慎重運転を望み、自動運転プログラムも法規を守ったうえで十分なマージンをとって走行するだろう。しかし後続車ドライバーはもっとリズムよく走ってほしい。これを解決するには「教習中」ならぬ「自動運転中」の外的な表示と、後続車両からのパッシング、つまり追い抜かせてほしいという合図を受けた場合に、路肩に寄せて後続車を追い抜かせるなどのプログラムなども、自動運転混合交通時代には必要となるだろう。

ボッシュは、すでに公道でのテストを開始しており、この車両は「ドライバーが常時監視しなくても、高速道路の入口から出口まで、自律走行できる」と説明している。さらに、2020年までのハイウェイパイロットの量産市販化を予定しているという。

まずは高速道路からというシナリオが進行しているのだ。

《森脇稔 三浦和也》

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