ホンダの新型『ステップワゴン』は、これまで以上に標準のステップワゴンと「スパーダ」の差別化を図ったデザインになっている。ユーザー層を改めて調べることで、それぞれに求められているキャラクターが見えてきたという。
エクステリアデザインを担当した、本田技術研究所四輪R&Dセンターデザイン室1スタジオ研究員の内山慎也さんは、これまで2シーター以外所有したことがなかった。「私はレースをするので2シーター以外乗ったことがなく、ファミリーの気持ちがわからなかった。そこで、世の中にはどういう家族がいるかを知ることからスタートした」と振り返る。
そこで気づいたのは、女性が非常に多く運転しているということだった。そこで、「(標準のステップワゴンは)女性に優しい、どちらかというと中性的なデザインにしたいと考えた」という。一方のスパーダは、これまで通り、走りを好むようなユーザーの期待に添い、その期待を更に伸ばすデザインにした。その結果、「これまでのステップワゴンにプラスアルファした価値でスパーダをデザインする方向性から、2極化、2つの兄弟というイメージでデザインする考えになった」と述べる。
ステップワゴンは中性的なデザインを狙っているが、具体的にはどう表現したのか。内山さんは、次のように説明する。「ミニバンなので四角いクルマではあるが、コーナーを丸くすることで、全体の印象を丸くした。更に、ミニバンの広大な室内空間から、空気を運んでいるとは思われたくないので、浮いているような、箱がふわっと走っているような感じではなく、どしっとしている雰囲気を大事にした」
そしてスパーダは、「(どしっとした雰囲気は共通ながら)バンパー周り、グリル、サイドシル、スポイラーなどにエッジを持たせることで、走りの面を強調した」(内山さん)。