【WEC 第2戦】負傷欠場となった中嶋一貴…「早く復帰できるよう集中する」

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開幕戦シルバーストンでは3位、表彰台に上がった#1 トヨタの中嶋一貴(右)、A.デビッドソン(中央)、S.ブエミ(左)。
  • 開幕戦シルバーストンでは3位、表彰台に上がった#1 トヨタの中嶋一貴(右)、A.デビッドソン(中央)、S.ブエミ(左)。
  • スパを走る#1 TOYOTA TS040 HYBRID。
  • アクシデント直後と思われる画像。手前が中嶋の#1 トヨタ、後方が#8 アウディとそのドライバーで日本でもお馴染みのO.ジャービス。
  • スパ戦に臨んでいる#2 トヨタ。
  • 雨中の公式練習を走る#2 TOYOTA TS040 HYBRID。
  • 初日の練習走行、トップタイムは午前、午後ともポルシェ919がマーク。午前は#18、午後は#19がそれぞれ首位だった。
  • 走行先日の29日、ドライバーたちが世界有数の名サーキットであるスパのコース下見を実施。

世界耐久選手権(WEC)第2戦スパ・フランコルシャン6時間レースの練習走行(現地4月30日)でアクシデントに遭遇、負傷によりレース欠場となった中嶋一貴(#1 TOYOTA GAZOO Racing)の状況に関して、チームからの発表があった。

「雨が断続的に降り続くなかで実施された公式練習1回目、ケメル・ストレートでスローダウンしていた#8 アウディに中嶋一貴の#1 トヨタが接触」(チームリリースより)という状況のアクシデントだったらしく、一貴らのコメント(後述)によると視界不良で不可避な状況だったことも推測される。

#1 トヨタはモノコックに及ぶダメージを負い、一貴はアクシデント後、背中の痛みを訴えたため、サーキットのメディカルセンターで診察を受けた後、ヴェルヴィエ(ベルギー)の病院に移されて詳細なチェックが行なわれたという。その結果、「脊椎の一部に損傷が発見されました」とのことで、一貴は現時点(リリース発表時点)も治療のため病院にチーム関係者と共に残っている。

佐藤俊男チーム代表のコメント
「我々全員が中嶋一貴選手の負傷について心配しています。非常に残念な状況ですが、チームは中嶋選手の一刻も早い回復を願い、日本への帰国を最優先にサポートします。先のことを話すのはまだ早過ぎ、状況と可能性の全てを分析してから判断することになるでしょう。今の我々の優先項目は中嶋選手の回復です。アクシデントのビデオを見て、彼に回避のチャンスが無かったことは明らかです。視界は水煙によって非常に悪く、中嶋選手に成すすべは無かったと思います」(原文まま)

中嶋一貴選手のコメント
「最初に、レースディレクターのエデュアルド・フリータス氏と彼のサーキット・セーフティクルー、そして素晴らしい処置をしてくれたこの病院のドクターに感謝します。彼ら全員が本当のプロフェッショナルであったおかげで、大事に至らなかったことに感謝しています。残念ながら、レントゲン写真を見る限り、私の脊椎の一部に損傷が見られました。信じられないほどショックですが、今私に出来る事は限られています。出来る限り早く復帰出来るように集中するだけです。アクシデントについてはあまり語れることはありません。私はストレートを走行していたのですが、突然車両の右前から水煙を浴びました。反応する時間はありませんでした」(原文まま)

また、WECからのリリースによれば、FIAメディカルデレゲートのジャック・トロプナ医師の声明として「中嶋一貴は背中の痛みを訴え、検査のためヴェルヴィエの病院へ搬送された。神経系統の検査は正常であった。今晩は経過観察のため、彼は病院に留まる」との情報もある。

#1 トヨタはモノコック交換のためフリー走行2回目を走れなかったが、アンソニー・デビッドソンとセバスチャン・ブエミの2名体制で5月1~2日の予選~決勝を戦う。

今大会の欠場により、一貴は実質的に彼個人としての今季世界タイトル獲得の可能性をほぼ失ったことになる。その意味でも非常に残念だが、まずは早期の回復と復帰を願いたいところだ。ただ、即復帰は難しい可能性もある。レースに出場できる身体状況に回復したとしても、今季開幕前のテストでクラッシュに遭遇したF1のフェルナンド・アロンソが開幕戦を欠場したように、短期間のうちに2度目の大きな衝撃を受ける可能性を排除する目的での復帰見送り(主催者側やライセンス発給側からストップがかかる可能性も含めて)となることもあり得るからだ。

当面の一貴の参戦予定レースは、5月24日決勝のスーパーフォーミュラ(SF)第2戦岡山、そして6月13~14日決勝のWEC第3戦ルマン24時間レース。あくまで推測だが、3週間後のSF岡山戦の出場は難しいかもしれない。おそらく本人も周辺も、そしてファンも、世界3大レースのひとつで、昨年は一貴がポールポジションを獲得しているルマン24時間にはなんとしても出場を、そしてトヨタとともに悲願の総合優勝を、という心境だろう。だが、現在30歳の一貴には国内外のトップ戦線で走るドライバーとして、まだまだ長い未来がある。しっかり完治させてからの完全復活を願いたいところでもある。

《遠藤俊幸》

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