日産自動車が5月13日に発売する主力SUV『エクストレイル ハイブリッド』。同車のハイブリッドシステムは、2リットルのエンジン+モーターにCVTを組み合わせたものだ。これだけ見れば何ら他とは変わらないシステムだが、CVTに“とある仕掛け”が施されていた。
試乗してみると、走り出しはEVモードで静かに発進。少しアクセルを踏み込み、パワーが必要とシステムが判断すると、エンジンに火が入る。CVTはその時の最もエンジン効率が高いポイントで、文字どおりの無断変速を行なう。しかし、アクセルを深く踏み込むと「Dステップ」という機能が作動した。
この機能は、無段階に変速するのではなく、ギアがあるようにステップ変速をしながら加速して行くもの。エンジンが“うなりっぱなし”ではなくなるので、リズミカルな加速を味わえる。
エクストレイルハイブリッドのエンジンをはじめ、パワートレインの開発を担当した小熊元氏は「この機能はウリのひとつ。エンジン本来が持っている気持ちよさを、聴覚で感じることができる」と話す。ただし、Dステップは、クルマが明らかな加速意図を検知したときのみ作動するもの。普段は環境を優先した変速となる。
このCVTには、スポーツモードも備わる。モードをONにすると、エンジン回転が上昇し、エンジンブレーキの効きを強くし、加速のレスポンスが向上する。
この加速感を演出するのは、CVTのセッティングだけではない。エクストレイル ハイブリッドのシステムは、トルクコンバータを用いずに2クラッチ式を採用していることも大きい。
小熊氏は「クラッチはトルクコンバータよりもロスが少ないため、ダイレクトな加速を味わえる。難しいのはCVTがダイレクトさを吸収してしまわないこと。そのセッティングは慎重に行なった」と語った。