ホンダの軽自動車 N BOXシリーズのなかでもっとも新しいモデルとなるのが、この『N BOXスラッシュ』。
N BOXシリーズのなかでは5車種目となるスラッシュ。基本的には2011年に登場したN BOXと同じプラットフォームを採用しているが、その仕上がりのよさはまるで異なる。N BOXスラッシュは全体としてまとまり感にあふれるクルマに仕上がっているのだ。クルマがひとかたまりになっているようなしっかりとしたボディを持っている。
試乗車のエンジンはターボ付きで、64馬力/10.6kgm。ミッションはトルクコンバーター付きのCVT。軽自動車のパワーユニットは自主規制によって最高出力が各社ともに64馬力となっているが、このN BOXスラッシュについては、ほかのモデルに比べてパワーを感じる。おそらくはボディがしっかりとしているので、トルクが逃げることなくタイヤに伝わるのだろう。そして、タイヤの接地性もいいから、エンジンのトルクが余すことなく路面に伝わっている感覚だ。
そのボディの素晴らしさはコーナリングにも現れている。ステアリング操作に対するクルマの動きがきわめて正確だ。ねらったラインにピタリと決められるという言葉が適当というか、クルマの動きがイメージどおりとなる。フロントタイヤとリヤタイヤがちぐはぐな動きをするクルマも多いなか、N BOXスラッシュは前後の動きに一体感があり、まるで1本の太いタイヤに乗っているような感覚を覚える。
チョップドルーフのスタイルに、派手な2トーンに塗り分けられたボディ、50年代のアメリカンジュークボックスを思わせるインパネまわりなどなど、はっきり言って見た目はかなりチャライ。クルマが放つ雰囲気からは走りのよさはさほど期待できないが、これが走ってみるとビックリ。軽自動車のなかではピカイチともいえるしっかりとした走りを披露してくれる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。