工数・コスト削減狙い、車載向け音声テレマもスマホ移行加速…ニュアンス Dragon Drive Mobile

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ニュアンス Dragon Drive Mobile
  • ニュアンス Dragon Drive Mobile
  • ニュアンスコミュニケーションズ オートモーティブビジネスユニットプリンシパル マーケティングマネージャー村上久幸氏
  • モバイル・スピーチ部門オートモーティブ戦略ディレクターブライアン・ラドロフ(Brian K. Radloff)氏
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ニュアンスコミュニケーションズジャパンは2月27日、同社が展開するDragon Driveの新機能、Dragon Drive Mobile、声紋認証機能に関する説明会を行った。

今回の新機能について説明したのは同社モバイル・スピーチ部門オートモーティブ戦略ディレクターのブライアン・ラドロフ(Brian K. Radloff)氏、同オートモーティブ戦略営業開発ディレクターA.J.マッキノン(A.J. MacKinnon)氏、オートモーティブビジネスユニットプリンシパル マーケティングマネージャー村上久幸氏。

◆ミッションは“メーカー独自仕様”インターフェース

ニュアンスコミュニケーションズは音声や言語を基軸としたソリューションを展開し、車載向けにもコネクテッドカー時代の新たな人とクルマの関係構築を目指した事業を展開。すでに70億台の携帯電話端末や9000万台以上の車載器に同社の技術が何らかの形で搭載されいるという。

「自動車メーカーがコネクテッドカーを安全かつ自然に利用できる“メーカー独自仕様”に基づいたユーザーインターフェースを実現することを当社のミッションに掲げている」と村上氏。他企業と比較して強みといえるのはグローバルに統一的なサービスが展開できることだという。

説明会では、まずドラゴンドライブ(Dragon Drive)に新規追加された機能説明がされた。ドラゴンドライブは、車載器やスマートフォンを通じてニュアンスの音声認識・音声合成技術を組み合わせ、クラウド側にある様々なサービスを利用することを可能とするもので、すでに複数の自動車メーカーへの納入実績がある。

しかし自動車メーカーからは、工数/コスト削減や開発スピードのアップのため「スマートフォンを中心とした製品パッケージとしてのソリューション提供を要請されてきた」(村上氏)。またIT製品開発と車載開発では期間に相当なギャップがあったが、これをITデバイスの開発期間にあわせて短縮すること、そして車載器側のリソース負荷を減らすために様々な処理を、より性能の高いスマホへオフロードすることが求められるようになったと説明する。

◆スマートフォンへの処理オフロードで軽量化、コスト削減、開発サイクル短縮を実現

これらの要請に基づいて、同社が製品化したのが「ドラゴンドライブモバイル(Dragon Drive Mobile)」だ。

車載では従来のアプリケーションコンテナ(ブラウザ)、ネイティブアプリに加えて新たにHTML5 HMI対応、アプリケーションコンテナ仕様が加わった。スマホではこれまでのネットワーク接続機能やユーザ識別、各種コンテンツアプリの利用に加えてVoCon Hybrid(音声認識)・Vocalizer(音声合成)・プリパッケージHTML5 HMI、Daily Updateが加わった。クラウド側では従来通り音声認識(自然言語理解)、音声合成、ユーザ管理、利用データ管理、コンテンツフォーマット貢献、OTAソフトウェア更新機能が搭載されているという。

ドラゴンドライブモバイルを導入することによって、上に述べたヘッドユニットの処理負荷軽減や開発初期コストの低減、ニュアンス側がHTML5 HMIアプリを提供することによるアプリ開発工数削減とUIのカスタマイズ自由度が向上できるという。

◆車載のノウハウ活かした“プッシュ型”通知

続いてDragon Drive Mobileの新機能のひとつデイリーアップデート(Daily Update)について。デイリーアップデートはユーザの好みや状況の変化に対応した情報を“プッシュ型で”“能動的に”提供できる点が重要という。

「日々の予定を音声で知らせてくれ、ユーザの好きなスポーツチームの対戦結果も速報で知らせてくれる、このほか通勤ルートの情報、交通渋滞情報、天候、株式市場の変化も知らせてくれるようになっている」と村上氏。

ではこの自動車メーカーにとってのメリットは何か。“音声”での情報通信処理により運転中にスマホに手を伸ばしてしまう可能性を低減し注意散漫を防ぐことから安全性の向上に寄与する、との利点を説かれた。「必要な情報をクルマから積極的に、音声で(=視認不要)ドライバーに提供できる。デイリーアップデートによってドライバーが特別な操作をせずに、自分にとって必要な情報だけをクルマに乗り込むだけで入手できるようになる」、と説明された。

◆声で個人特定と認証ができる「声紋認証」

最後に紹介したのは、声紋認証機能。

そもそも声紋(Voice Print)とは、個々人固有の物理的な声道の特徴、例えばその長さや形状、あるいは固有の音質などの特徴と、行動面での特徴(声のアクセント、話す速度や単語の発音や強調など韻律的な特徴)とをあわせて生成される各人固有の音声パターン。

ラドロフ氏は、「声紋認証は、特定の話者の声紋を生成するため“トレーニング”と呼ばれる発話の登録を行ったうえで、認証時に発話者の声が登録済みの声紋とどれだけ近似しているかを照合する。もし一致度が高ければ、登録された話者と同一と判断し、ロックの解除などの操作を行う仕組みとなっている。この同一と見なす閾値は用途によって変更が可能だ」と説明。言語の違いによる認識率の差異はなく、とくに一つのデバイスを複数のユーザが利用するようなケースで利用が想定されているそうだ。

またマッキノン氏によれば、「ニュアンスの音紋認証(Voice Biometrics)では金融機関で利用されているものと同じ声紋認証技術を採用することで安全性を担保し、パスワードやPINを記憶する手間から解放されて簡単にログインでき利便性も高い」と説明する。

イメージビデオでは室内で話したto doが車内でリマインドされる機能や、予定の変更が車内のアプリケーションを通じて通知され、ドライバーがこれに「話しかけて」レスポンスするシーンが紹介された。

なお同社では、今夏にも国内で技術説明会を開催する予定だ。


《まとめ・構成 北島友和》

《北原 梨津子》

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