5月運行開始の仙石東北ライン、運賃計算上は3月「開業」

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仙石線・東北本線接続線は5月30日に開業するが、運賃計算上は3月14日に「開業」する。写真は接続線経由の新しい運行系統「仙石東北ライン」で運用されるHB-E210系ハイブリッド気動車。
  • 仙石線・東北本線接続線は5月30日に開業するが、運賃計算上は3月14日に「開業」する。写真は接続線経由の新しい運行系統「仙石東北ライン」で運用されるHB-E210系ハイブリッド気動車。
  • 仙石東北ラインの運行区間(赤点線)。仙台方は東北本線、石巻方は仙石線を走り、接続線を経由して東北本線から仙石線に移る。営業距離は全区間仙石線経由より1.3km短い。
  • 仙石東北ライン(青)は5月30日に開業する仙石線・東北本線接続線(赤)を走る。東北本線と接続線の分岐点は松島駅構内、接続線と仙石線の分岐点は高城町駅構内の扱いになる。
  • 仙石東北ラインの運行開始と同時に再開する仙石線高城町~陸前小野間のうち、陸前大塚~陸前小野間は内陸側のルートに変更される。これにより営業距離も1.2km短縮される。

JR東日本仙台支社はこのほど、東北本線支線(仙石線・東北本線接続線)の開業と仙石線の全線再開による「仙石東北ライン」の運行開始に先立ち、営業距離の設定・変更を実施すると発表した。運行開始は5月30日だが、運賃計算上は3月14日に「開業」する格好となる。

仙石東北ラインは、仙台(仙台市青葉区)~石巻(宮城県石巻市)間を結ぶ新しい運行系統。仙台駅から塩釜駅の先まで東北本線を走り、5月30日に開業する接続線を通って高城町駅の手前から石巻駅までは仙石線を走る。

新たに開業する接続線は、東北本線塩釜~松島間のほぼ中間から分岐して仙石線松島海岸~高城町間の中間までを結ぶが、営業上は東北本線と接続線の分岐点を松島駅構内、仙石線と接続線の分岐点を高城町駅構内として扱う。このため、法手続き上の接続線の整備区間は松島~高城町間の0.3kmで、仙石東北ラインの営業上の経路も仙台~(東北本線)~松島~(接続線)~高城町~(仙石線)~石巻間になるが、松島駅は通過扱いになる。

東日本大震災による津波の影響で運休中の仙石線高城町~陸前小野間11.7kmも、仙石東北ラインの運行開始にあわせて5月30日から再開する。運休区間のうち陸前大塚~陸前小野間6.4kmはルートを内陸側に移し、営業距離は現在より1.2km短い5.2kmに。駅間ごとでは陸前大塚~東名間が現在より0.2km短い1.4km、東名~野蒜間が0.4km短い1.2km、野蒜~陸前小野間が0.6km短い2.6kmになる。

接続線の営業距離設定と仙石線の営業距離短縮は、北陸新幹線延伸開業などに対応したJR東日本のダイヤ改正にあわせ、開業・再開に先立つ3月14日に実施される。このため、仙石東北ラインが走る予定の接続線は3月14日から5月29日まで、列車は走らないが運賃計算上は存在することになり、一部の区間で運賃が変わる。

仙台~矢本間の場合、現在の最短営業距離は全区間仙石線経由の40.9kmだが、東北本線・接続線・仙石線経由の営業距離は、全区間仙石線経由より1.3km短い。仙台地区のJR線は、実際の乗車経路に関わらず最短経路の営業距離で運賃を計算する「仙台近郊区間」の特例が設けられていることから、3月14日以降は仙台~矢本間を全区間仙石線経由の列車と代行バスで移動する場合でも、東北本線・接続線・仙石線経由の営業距離で運賃を計算する。

これに加えて仙石線の営業距離も1.2km短縮されることから、仙台~矢本間の最短営業距離は3月14日以降、2.5km短い38.4kmに。片道運賃(大人)は現在の切符760円・IC756円から切符670円・IC669円に値下げされる。ただし、仙台近郊区間の特例が適用されない中長距離の乗車券や定期券など、実際の乗車経路によって発売される切符については、5月30日まで接続線経由の切符は発売されない。

このほか、3月21日に運転を再開する石巻線浦宿~石巻間も、再開に先立ち3月14日から営業距離が変更される。女川駅が内陸側に移設されるため、同区間の営業距離は現在より0.2km短い2.3kmになる。

仙台支社は「ダイヤ改正(3月14日)、石巻線の再開(3月21日)、仙石東北ラインの運行開始(5月30日)のたびに営業上の扱いの変更を順次実施すると、サービス上も業務上も混乱の元になる。3月14日のダイヤ改正時に一括で実施することにより、混乱を防ぎたい」としている。

《草町義和》

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