【インタビュー】HUD・ドラレコ・PND…垂直統合で世界に挑むGARMIN

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いいよねっと 向井淳氏
  • いいよねっと 向井淳氏
  • ペアリングが成功するとOKと表示される。これで準備は完了だ。
  • いいよねっと 向井淳氏 とGARMIN HUD
  • GARMIN HUD
  • 夜間は自動的に明るさが調整される。昼間よりはかなり明るく見えるが、眩しく感じるようなことはない。
  • 本体上面にある発光部分はこのようになっている。これが光ることで透明な反射板に文字などが映し出されるのだ。
  • このようにダッシュボード上に設置する。といってもただ置くだけでいいので簡単だ。
  • これまでなかった外観を持つ。反射板を除けばスマホを分厚くしたくらいの大きさだが、重量は177gもあり、バッテリーなどを搭載しないわりには重い。

車載分野において、PNDやOEMのビルトインナビで市場を確実に広げてきたGPS機器メーカーのGARMIN。スマホナビの隆盛でPNDメーカーが軒並み脱落していくなか、同社製品で最近注目を浴びているのは、ダッシュボードに設置したパネルでナビゲーションルートを表示し安全な運転をサポートする『GARMIN HUD(ヘッドアップディスプレイ)』と、高画質を売りとするドライブレコーダー『GDR』シリーズだ。

日本市場でもこの春から夏にかけて話題を持って取り上げられてきた同製品。その製品作りを支えるコンセプトの核はどこにあるのか。日本正規輸入代理店である「いいよねっと」社で開発拠点の台湾とのパイプ役を務める向井淳氏に話を聞いた。

GARMIN HUD…ライバル不在の安心安全車載デバイス

----:GARMIN HUD発売から2ヶ月余りが経ちましたが、反響はいかがでしょうか。

向井:IT系のブログメディアにも露出するなど、これまでとは異なる話題の広がりが実感できますね。アップルストアでも取り扱っていることもあり、出荷も順調です。

----:GARMIN HUDならでの使い勝手はどのようなところにありますでしょうか。

向井:ダッシュボードに設置できる簡単さにあると思いますね。GARMIN HUDは視野角が広く、表示部分の輝度も高いので日中でも視認性に優れています。本体に照度センサーがありますので、周囲の明るさに応じて輝度を自動で変更し、夜間やトンネルなどでまぶしく感じないような工夫もなされています。視線を移動することなく、ターン・バイ・ターンの表示に従って運転ができるので、安全運転をサポートする機器としては使い勝手はかなり高いと思います。私自身、プライベートで旅行に出かけた際にこのHUDを使いましたが、その便利さを実感しました。

----:他社製品との比較などもおこなったのでしょうか。

向井:GARMIN HUDの販売価格は、アプリとセットで2万円台前半と安価です。数万円する他社製品とはコンセプトも価格もかけ離れているので、特に競合などは意識していません。

◆GPSで名を売るGARMINが非GPS機器を出す理由

----:検証作業に際して、苦労した点や印象に残った点はありますか。

向井:今回は日本仕様の発売時期がすでに定められており、検証に要する期間は非常に短かったのです。作業としては地図データに関する検証ができないため、誘導や基本的な検索や動作など、スマートフォンアプリとの連携部分についての検証が主でしたが、アプリのベースとなったキャンバスマップルさんの「マップルナビK」の完成度が高かったので、問題はそれほど出ませんでした。

----:これまでGPS製品を中心に展開されてきたGARMINですが、HUDのように、GPS非搭載の車載デバイスは今後も登場してくると考えてもよろしいでしょうか。

向井:GARMINは、GPSのテクロノジーだけでなく、位置情報その他のデータを可視化してトレーニングやフィットネスに活かすためのインターフェース設計を得意とする会社です。この春に出したライフログバンド『vivofit』やランニングウオッチ『ForeAthlete 10J』のように、GPS機器の裾野を広げるためにも、GPS非搭載の機器はこれからも積極的に出していくと思います。エントリー層にはGPS非端末の機器からGARMINのブランドを知ってもらい、「もっとさまざまな機能を使いこなしたい」という方に上位機種を選択肢に入れていただく、という流れになれば良いかと思います。

◆GDR 190J…圧倒的な広視野角で防犯にも効果

----:では次に、この夏に出したデュアルカメラのドライブレコーダー『GDR 190J』についてお伺いしたいと思います。デュアルカメラによってどのようなメリットが生まれたのでしょうか。

向井:映像の歪みを抑えながら、水平200度という超広視野角のパノラマ撮影を実現したことがまず大きいところです。またこの広い視野角を活かしてセキュリティ的な用途も付加しています。具体的には、アクセサリー電源がから直結できるケービルを接続することで、ドライバーがいない駐車中も人影を感知して、その部分を切り取って保存する「パーキングモード」です。また、高速道路などで前方車に近づきすぎたときなどにアラートを出す「前方衝突注意警告」などもあります。

----:この1~2年で、日本の市場でもGARMINのドライブレコーダーはかなり認知度が高まってきましたね。

向井:台湾ではNo1メーカーとして絶大な人気があり、日本でも好調だとは思いますが、まだまだといった状況です。今回のGDR 190Jは台湾側の開発と並行して検証作業等を行ないましたが、リリースサイクルをより加速していくための課題を再認識できました。課題自体は多いのですが今後はリリースサイクルが早まるよう努めてまいります。

◆垂直統合モデルを強みにブレない製品づくりで世界に挑む

----:190Jに限らず、ドライブレコーダー製品の売れ行き状況はいかがでしょうか。

向井:カー用品店専売の『GDR 32』と『GDR 33』が引き続き好調です。これらの製品は他社製品と比較すると高い価格帯で、GARMIN自身もドラレコでは後発メーカーでしたが、フルHDで常時30FPSの高画質やGPSの位置取得が速いといった基本性能が評価されての結果と考えています。

----:今後、GARMINとして展開予定のあるGPS関連の製品があればお教えください。

向井:ドラレコの新型機種2モデルを秋から冬にかけてリリース予定です。より広角なレンズを備え、安全/安心機能も充実させています。GARMINの強みは垂直統合によるブレない商品コンセプトと高品質へのこだわりです。自社での設計・開発・生産を強みにしながら、航空・海洋向け機器からPND、フィットネス、サイクルコンピューター、ハンドヘルドといった、コンシューマー向け製品を提供してきました。今後もその路線に変化はありませんが、日本発アジア発のアイディアで企画した製品が出せたらいいなとは思っていますね。

《山谷克明》

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