軽ワゴンをけん引している人気の『ワゴンR』が一部改良を受けた。もっとも大きな変更点は「S-エネチャージ」の採用にある。試乗したのは「FZ」。
従来から採用されている「エネチャージ」では、回生したエネルギーを電装品に使っていたが、S-エネチャージではこの回生エネルギーを加速時のモーターアシストにも使用する。S-エネチャージが装着されるのはワゴンR FZと『ワゴンRスティングレーX』。ワゴンR FXとワゴンRスティングレーTは従来どおりのエネチャージを採用。ワゴンR FAにはエネルギー回生機構は装備されない。
S-エネチャージの要となるのがISGと呼ばれるモーター機能付きの発電機。ISGはオルタネーターの代わりに配置される。つまりオルタネーターがモーターの役割もすると考えればいい。エンジンの最初の始動は通常のセルモーターで行われるが、その後のアイドリングストップ時からの再始動ではセルモーターは使われず、ISGによって再始動する。また15~85km/hの間で最大6秒間のモーターアシストが行われる。
アイドリングストップは従来タイプのエネチャージ同様に13km/h以下で行われるが、従来タイプよりもストップするときのスムーズさが増しているような印象があった。再始動に関してはあきらかに静粛性が増し、振動が減っている。セルモーターでの始動はキュルキュル音が伴うが、ISGによる再始動はじつに静か。赤信号で止まった際、ためしにイグニッションをオフにしてあえてセルモーターで始動してみたが、あきらかにノイジー。そして、エンストした感が大盛りなのである。
モーターアシストは強い加速を得るためでもなければ、速く走るためでもない。あくまでもエンジンの負担を軽くして、燃費を稼ぐのが目的。アシスト中はインパネに表示によって知ることができるが、身体で感じることはできなかった。
従来型エネチャージを採用するFX(CVT)のJC08モード燃費は30.0km/リットル、S-エネチャージのFZ(CVT)は32.4km/リットル。と燃費を一気に向上。実用燃費でどれくらいまで伸びるのかに興味が湧く。
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。