新型『デミオ』のプロトタイプ車に試乗した。ボディがちょっと大きくなって、やや重くなる方向に向かったのは残念な部分だが、話題の小排気量ディーゼルもガソリンの1.3リットル車もとても良く走った。
ディーゼル車に乗って走り始めてすぐ、あれ? と思った。運転席に座っているとディーゼル車に特有のエンジン音が聞こえてこないからだ。ガソリン車並みに静かなディーゼルに仕上がっている。
これはクルージングモードで走っているときも同じで、ディーゼルらしさを全くといっていいくらいに感じさせない。騒音や振動の面で相当に頑張ったディーゼルであることが分かる。
走りの力強さは言うまでもない。1.5リットルながら、パワーは同排気量のガソリン車並みの性能持ち、トルクに至っては2.5リットル級の実力を持つのだから、1tを少し超えたくらいのデミオのボディに対して余裕十分である。
トルクを生かした走りをすれば、燃費も良くなるのは確実で、軽油であることを合わせた燃料経済性はハイブリッド車並みになると思う。
ディーゼルばかりが注目されがちなデミオだが、ガソリンの1.3リットル車もけっこう良く走った。ボディに負けない動力性能を持ち、軽快な吹き上がりを感じさせるからだ。今回のモデルではCVTではなく6速ATが組み合わされたことも、走りのフィールの向上につながっている。
最終的な評価は市販仕様車の登場を待たねばならないが、プロトタイプに乗っての印象は、相当に期待できるクルマだった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。