『ウラカンLP610-4』のデザインは、もちろんランボルギーニ本社にある、チェントロ・スティーレ=スタイル・センターで行われた。ランボルギーニにチェントロ・スティーレが完成したのは2004年のことで、その敷地面積は2900平方メートル。この中にはデザイナーのワークステーションのほかに、プロトタイプの生産や、テストを行うための施設もある。
さらにチェントロ・スティーレには、エンジニアリング部門も隣接するレイアウト。つまりデザイナーとエンジニアとの間には、密な意見交換を行うための環境が整っていることになる。
現在チェントロ・スティーレを率いているのは、イタリア人デザイナーのフィリッポ・ペリーニ。最新作のウラカンは、もちろん氏のリーダーシップによって誕生したものだが、実はデザインの初期プロセスにおいては、ほかのデザインスタジオとのコンペも行われたという。ペリーニ氏が、本家ランボルギーニ・チェントロ・スティーレのリーダーとしてスタッフに指示したのは、できるだけスムーズなライン構成で、ランボルギーニらしいデザインを確立すること。フロントからリアに向けて、ボディーサイドをダイナミックに流れる「シングルライン」は、そのコンセプトを最も的確に象徴するものであるという。
日本の折り紙にインスピレーションを得たというルーフも、氏がウラカンで特にこだわったフィニッシュ。一方、エンジニアリングやレギュレーションの面で、理想的なデザインを実現することができなかったパートとしては、ダックテールをその一例にあげた。あと20mmほどエッジを高めることができたのならば、ウラカンのリアビューはさらに刺激的に、そして理想的なエアロダイナミクスを得ることができただろうと氏はコメントした。
ランボルギーニが我々メディアに、チェントロ・スティーレで最も重要な、デザイナーのワークステーションを公開したのは、非常に珍しいことだ。
取材時には10名ほどのデザイナーが働いていたデスク、あるいはPCからは、当然のことながらランボルギーニの将来を予感させる材料は見当たらなかったが、時に新型車のプレゼンテーションにも使用されるプロトタイプの製作エリアには、黒いベールに包まれた、おそらくはSUVコンセプトの『ウルス』と見られるモデルの姿があった。
主役のウラカンとともに、それをあえてメディアの目に触れさせる狙いは、近くランボルギーニに、第3のモデルが誕生することを、改めて予告することにあったのだろうか。