ファインモータースクールが開催した超小型モビリティの試乗会。試乗会に参加した本田技術研究所の末田健一主任研究員は「初めてライセンスを取った方など運転に不慣れな方には、『MC-β』のサイズは心のゆとりになります」とメリットを示す。
超小型モビリティーは、国土交通省が主導となって検討している車両区分。同試乗会ではホンダの「MC-β」が使用された。
車両サイズ2495×1280×1545(mm)と、軽自動車より全長が約90cm短い超小型ボディに仕上げられたホンダの「MC-β」は、現在、熊本県、さいたま市、宮古島市の各自治体と共同で開始した社会実験に導入されている。
超小型モビリティがドライバーの心にゆとりを与えるということに関して、末田氏は「他の地域ですが、軽自動車の『N-ONE』とMC-βの乗り比べを実施して、参加者には、クランクを回る、駐車をするといった、基本操作のあるコース走ってもらいました。その時のタイムを計測したところ、N-ONEでは3分かかるものが、MC-βでは1分30秒で帰ってくる人がほとんどであったりと、どのくらいストレスがあるのかなどを含めて、超小型モビリティの見切りの良さが扱いやすさに効果があることを確認しています」と話す。
実際にMC-βで教習コースを試乗してみると、筆者の苦手な車庫入れや縦列駐車もスムーズに行えることを実感、道路幅の狭いところでは心に余裕があることを感じた。普段、車に乗り馴れている人には感じられないかもしれないが、車を操作することへの不安がバリアとなって、移動の自由が制限されている人もいると、末田氏は指摘する。
末田氏「今回の試乗では、ペーパードライバーなど久しぶりに運転される方が多いことから、どのくらいの余裕を持って操作ができるのか?、どうしたら街の中でも楽しく乗ってもらえるのか?といった声が集まり、次に作るハードの要求性能であったり、法規制の部分やインフラ部分で専用の道路や駐車場が必要なのか?といった部分に役立てることができると思います」と、加えて、様々な立場の人に小型EVならではの良さを知ってもらうことが重要と説く。
末田氏「駐車場の話を例にすると、一台分のスペースをそのまま使えた方がゆとりがあっていいのか?、専用駐車場を用意して効率を高めるべきなのか?、多くの人に知ってもらうことで考え方の幅が広がっていくと思います」と、超小型モビリティの普及にあたってはハードだけでなくインフラやルール作りの面でも、一般利用者への認知拡大が重要との考えを示した。