これはちょっとゴルフを意識し過ぎかな…と、特にハッチバックモデルにはそんな第一印象を抱かされたのが、新型『308』のスタイリング。
一方で、そんなハッチバックでは単にエンジンスペックのみならず、実際のボディまでを従来型に対して“ダウンサイズ”。今も拡大歩調を選ぶライバルたちとは逆に「このセグメントでは最小」とその“小ささ”こそをアピールする心意気やヨシ!
対して、いざ乗り込んでみると弟分である『208』譲り(?)の、独善的なドライビング・ポジションがどうにもしっくり来ない。「小さなステアリング・ホイールを極端に低い位置で構え、メーターはその上から読み取る」というレイアウトは、やはりどうにもムリがある…と、そう感じざるを得ないのだが。
この先、末尾は「8」から変更しない、という新ルールの3桁ネーミングが適用された第一号車であるこのモデル。同時にデビューしたのが、1.2リットルの3気筒直噴ターボ・エンジンだ。それが生み出す動力性能には心底びっくり! ガソリンユニットなのにまるでディーゼル以上にディーゼルっぽく、ごく低回転域から太いトルクを発する特性にも驚かされるし、そこから6000rpmのレッドラインまで自然にパワーが伸びる感触も好印象。
本国試乗会で乗ったのはMTとの組み合わせだが、こうした特性であれば日本仕様が採用予定の6速ATとのマッチングも問題ないはず。
3気筒という点から心配されるノイズとバイブレーションも4気筒に遜色ないもの…というよりも、常用域では“それ”に気が付かないという人が大半に違いなく。危うしVW製1.2TSIユニット!
フットワークもなかなか秀逸な仕上がりで、ヒタヒタとしなやかに走ってくれる。欧州カーオブザイヤー受賞もさもありなんか。
■5つ星評価
●パッケージング :★★★
●インテリア/居住性:★★★
●パワーソース :★★★★★
●フットワーク :★★★★
●オススメ度 :★★★
河村康彦|モータージャーナリスト
1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。ワールド・カーオブザイヤー選考委員、インターナショナル・エンジンオブザイヤー選考委員。