好評だった従来型のスタイリングを、「これからの時代には無骨に過ぎる」とバッサリ切り捨て。それでも従来型からのキャラクター継承をアピールするべく、TVCFなどではことさらに“OFF”の絵柄を強調するのがこのモデル。
ちょっと高めヒップポイントとなるドライバーズ・シートに腰を降ろし、いざスタート。と、思いがけずしなやかなそのフットワークの仕上がりぶりに、(良い意味で)ビックリ。これはSUVというよりは、“上級セダン”と評しても良い乗り味の持ち主。
4.6m超の全長に1.8m超の全幅、そして5.6mという最小回転半径は、多くの日本の環境下でも「大き過ぎる」という印象を抱かずに済む上限か。4WDモデルで1.5トン前後の重量に、2リットルエンジン+CVTというパワーパックの組み合わせは、「強力加速が効くわけではないものの、日常シーンでの不満ナシ」と、動力性能上はそのような感触。
確かに走りの性能に格段の不満はないし、前述のごとくそのフットワークの仕上がりは思いのほか上質だったりするものの、そうは言っても最後に残るのは、「けれどもこのモデルは“やっぱりエクストレイルなんかじゃない”でしょ!」という思い。
本来は“新型『デュアリス』”となろうものを無理矢理エクストレイル後継と謳い、自身もが仕掛け人のひとりとなってようやく日本でも定着しつつあったはずのディーゼル仕様をあっさりとカタログから落としたりと、昨今の日産がとり続ける“日本市場軽視”というスタンスの集大成と感じられてしまうのが、何とも残念!
■5つ星評価
●パッケージング :★★★
●インテリア/居住性:★★★
●パワーソース :★★★
●フットワーク :★★★
●オススメ度 :★★★
河村康彦|モータージャーナリスト
1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。ワールド・カーオブザイヤー選考委員、インターナショナル・エンジンオブザイヤー選考委員。