国土交通省の首都圏空港機能強化技術検討小委員会は、首都圏空港の機能強化について、技術的な選択肢を取りまとめた。
首都圏空港の発着回数(国内線+国際線)に関して、2022年度から2027年度にかけて処理能力を超える発着枠の需要が見込まれることから、今後の対応策を検討したもの。
羽田空港は、東京湾を最大限活用している現在の飛行経路・滑走路運用に加え、東京都心の上空も活用した新飛行経路案を検討した。この結果、新飛行経路案により出発・到着のピーク時間帯の空港処理能力拡大を図ることが可能となると試算した。
ただ、内陸部では騒音などの環境影響が懸念されるため、新飛行経路での運用時間を一定の時間帯に制限する、一定の機材のB滑走路からの出発を制限するなどにより、騒音影響の軽減を図りながら空港処理能力の拡大方策を検討することが重要としている。
時間を制限した都心の内陸部上空を飛行する新飛行経路の活用で増えると計算される発着枠は、年間2万3000~2万6000回。
また、滑走路処理能力を再検証したところ、現行の飛行経路・滑走路運用の下でも空港処理能力が年間1万3000回拡大できるとしている。これを実施するためには、現行の到着経路のほぼ全てが集中している千葉側の理解・協力を得る必要があるとしている。
成田空港は、地域との間で年間発着枠を30万回まで拡大することで合意しているが、運用実績が年間30万回を超える場合には、改めて地域の理解を得る必要がある。
管制機能を高度化することで、安全性を確保しながらより多くの航空機を離着陸させることが可能となるほか、高速離脱誘導路の整備で滑走路占有時間が短縮され、空港処理能力が拡大できる見通し。それぞれ年間2万回、合計4万回増やせると試算している。