3月末、三菱のスポーツカー『ランサーエボリューション』の生産終了が報道された。1992年の初代登場から20年あまり。WRC制覇など輝かしい足跡を残したランエボの歩みを写真で紹介する。
初代ランサーエボリューションが登場してからおよそ14年が経った2006年8月、第3世代ランエボの集大成と言うべきモデル『ランサーエボリューションIX MR』が登場した。
初代ランエボの登場以来、15年弱に渡りランエボの名と共に進化を遂げてきた4G63エンジンはここで究極の進化を遂げると共に、ついに終焉を迎えることになる。
タービンホイールを軽量なチタンアルミ合金製へと変更し、コンプレッサー入口径を最適化。ウェストゲート制御も最適化することで過給レスポンスを向上させている。さらにコンプレッサーホイールにマグネシウム合金を採用したターボチャージャーをオプション設定。より一層のレスポンスの追求がなされている。RSについては、トルクが歴代最高の41.5kgmにまで引き上げられた。
ランエボIXから投入された連続可変バルブタイミングシステムMIVECは、中高速、高負荷領域でのバルブタイミング制御のチューニングが施され、アクセルオフでの空燃費の最適化による高回転の減速フィーリングが向上。ダイレクトなレスポンスを実現し、ドライバビリティが向上している。
三菱自慢のハイテクデバイス「スーパーAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)」もIX MRでは更に進化。駆動力移動の制御最大値を約10%向上させ、旋回性能をよりいっそう高めている。この「スーパーAYC」と「ACD(アクティブ・センター・ディファレンシャル)」、さらにはスポーツABSの統合制御により旋回能力と安定性を高めている。
足回りでは、ビルシュタイン製のショックアブソーバーに加え、IX MRではアイバッハ製のコイルスプリングを採用し、ドライバーの操作に対しリニアなサスペンション性能を実現した。ランエボではおなじみとなった深紅のブレンボ社製ベンチレーテッドディスクブレーキを引き続き採用。ダイヤモンドブラッククリア塗装されたBBS社製の17インチアルミホイールもオプションで用意された。
エクステリアではフロントエアダムを下方向に約10mm延長し、車体下面へ流入する空気を削減し、エアダムサイドに凹形状を設けることで気流を制御しホイールハウス内の圧力を減少。ローダウンサスペンション(GSRに採用)との相乗効果でフロントの接地感が向上し、オプションのボルテックジェネレーターと合わせ高速時の安定性を高めている。