【GARMIN VIRB J インプレ前編】GPSトップメーカーが作ったアクションカムは形も機能も個性満載

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GARMIN VIRB J
  • GARMIN VIRB J
  • 本体の質感はGARMINのハンディGPSを使っている人ならおなじみのもの。いかにも耐衝撃性が高そうだ。
  • 裏面にはバッテリーケースの蓋がある左端の凹みはクレードルに固定するためのもの。
  • 左側面には巨大なスライドスイッチがあり、これがRECスイッチとなっている。
  • 右側面には電源ボタンを含めて4つのボタンが有る。ボディの凹凸デザインに溶け込んでいてどれがスイッチか少しわかりづらい。
  • ボディの後端にUSB端子とHDMI端子を搭載する。
  • バッテリーは専用のリチウムイオンで、2000mAhと大容量だ。
  • バッテリーを外すとMicroCDカードスロットがある。また、バッテリーを外せるということは、予備バッテリーを携行できることを意味する。

アウトドアGPSやカーナビで有名なGARMINから、全く新しい新製品『VIRB J』『VIRB J Elite』が発売された。『Go Pro』のヒットで一大マーケットが出現し、JVCやソニーなど日本メーカーもこぞって参入しているアクションカメラの注目モデルだ。そのスタイルや機能はまさにGARMIN流。ライバルの中でも異彩を放つ個性派モデルとなっている。

◆デジタルデバイスの定番ブランドGARMINがアクションカメラに参入

今どきはネットで面白いものを探していると、スポーツをプレイヤー視線で撮影した動画がこれでもかというほど見つかる。プレイヤーの体やスポーツギアの一部がフレーム内に固定され、背景がめまぐるしく動くあの映像は今や誰もがよく目にするものになった。あの映像の撮影に使われているのがアクションカメラなどと呼ばれる小型のビデオカメラだ。米GoPro社の「HERO」シリーズでブームに火が付き、今でも「GoPro」といえばアクションカメラの代名詞になっている。

アクションカメラはビデオカメラだけにとどまらず、デジタルデバイス全体で見ても近年にない成長商品となっており、もはや全く新しいマーケットが出現したといっても過言ではないほどだ。もともとビデオカメラを得意としているソニーやビクター、パナソニックも相次いでこのジャンルに参入し、受けて立つGoProもニューモデルを繰り出すなど、いまや激戦区となっている。

こんな状況の中で発売されたのが、ここで紹介するGARMIN「VIRB J」(「ヴァーブ ジェイ」と読む)だ。GARMINはPNDからハンディGPS、サイクルコンピューター、ランニングウォッチなどのジャンルでは定番ブランドであり、いわばアウトドアで使うデジタルデバイスのトップメーカー。そのノウハウを活かしてアクションカメラに参入したというわけだ。すでに後発といえるタイミングを考慮してか、そのスタイル、スペックはライバルの中でも異彩を放ち、極めて個性的。GARMIN流を貫いている。

◆縦型、ディスプレイ、GPS、ANT+…ヒットモデルを押しのける武器を揃えた

まず、「VIRB」のアウトラインを紹介していこう。どこがどう個性的なのかもその中で順次触れていきたい。まずボディ。アクションカメラのボディ形状はGoProのようなデジカメスタイルとソニーやビクターが採用するビデオカメラスタイルがあるが、「VIRB」はどちらでもない縦長デザインだ。ハンディライトスタイルとでも言うべきだろうか、この外観が第一の個性といえる。そして同様に個性的なのが、そのボディが極めてヘビーデューティに作られていること。全体がゴム製のジャケットで覆われており、耐衝撃性はいかにも高そうだ。アウトドアのフィールドにもよく似合う。華奢な家電品テイストのライバルとは全く別次元のボディといえる。

このボディは防水になっており、そのレベルはIPX7。雨や水しぶきや雪ならどんなに激しく降りかかろうと平気で、短時間なら水没にも耐える。使用環境温度も-15~60度と優れており、もちろん衝撃にも強い。つまり、水中での使用を除けばほとんどの用途に本体だけで使えるのだ。これはハウジングの使用が事実上のマストになっているGoProに対して大きなアドバンテージといえるだろう。もちろんオプションでハウジングも用意されており、これを使えば50m防水となる。

本体には1.4インチと小型ながらもカラーティスプレイが搭載されており、フレーミングの確認や撮影したデータの再生ができる。こうした仕様は本機のアドバンテージというべきだが、防水構造に加えディスプレイを搭載した結果、本体の重量は177gとかなりへビー級になった。ちなみにGoProの「HERO3+」は本体73gで、ハウジングに入れても168gに過ぎない。

カメラはフルHD(1080p)撮影に対応。レンズについてはスペックが公開されていないが、見た限りではライバルよりも大口径と思われる。撮影時の画角は4段階に切り替え可能だ。手ぶれ補正、レンズ補正と撮影機能は充実しており、さらにANT+によるワイヤレス接続でほかのGARMIN機器と接続し、リモート操作も可能。バッテリーは2000mAhという大容量を誇るリチウムイオンで、フルHD画質でも3時間の連続撮影が可能だ。

「VIRB」にはベーシックモデルの「VIRB J」と多機能な「VIRB J Elite」があるが「Elite」はさらに数々の個性的な付加機能を搭載している。ざっと挙げると、Wi-Fiと専用アプリによるスマートフォンでのリモート操作、GPSによる位置情報の記録、ANT+による各種センサーの接続、それに加速度計や高度計の搭載など。さらに、撮影機能には本機が移動すると撮影を開始する自動録画機能も加わる。

ANT+と加速度計、高度計は「Elite」で各種アクティビティデータをロギングできることを意味する。例えば自転車に取り付ければ撮影しながらサイクルコンピューターとしても機能するということで、GARMINならではの強みを活かした機能といえるだろう。このような多機能さにおいては先行するライバルを明らかに上回っており、「VIRB」は新規参入のハンデを跳ね返すための武器をたっぷり与えられたという印象だ。本来なら基本性能で勝負するべきかもしれないが、フルHD撮影が当たり前になっている現在、どのメーカーにとっても画質で差別化を図るのは難しい。高付加価値路線は正しい選択といえるだろう。

《山田正昭》

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