JR東日本、埼京線に無線式列車制御システム…2017年秋に導入へ

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JR東日本が開発した無線式列車制御システム「ATACS」の仕組み。無線で車両~地上間の双方向通信を行う。
  • JR東日本が開発した無線式列車制御システム「ATACS」の仕組み。無線で車両~地上間の双方向通信を行う。
  • 6月から営業運転を開始した埼京線の新型車両E233系7000番台(写真は乗り入れ先の東京臨海高速鉄道りんかい線)。ATACS導入時の主力車両となる。
  • 2017年秋に無線式列車制御システム「ATACS」が導入される予定の埼京線。写真の205系電車はE233系7000番台への置き換えが進行中のため、2017年秋のATACS導入時には姿を消していると見られる。

JR東日本は10月8日、同社が開発した新しいタイプの列車制御システム「ATACS(アタックス)」を埼京線の池袋~大宮間に導入すると発表した。2017年秋の導入を目指す。

ATACSは無線を使った列車制御システムで、2011年に宮城県の仙石線に導入された。同線での使用開始から約2年間、安定して稼働していることから、JR東日本は埼京線への導入を決めた。今後4年ほどかけて工事や試験などを行い、2017年秋からの使用開始を予定している。

従来の列車制御システムは地上設備を主体とした構成となっている。レールに電流を流して列車の位置を検知し、地上に設置された信号機によって後続列車の運転士に走行可能な区間と速度を指示する。このため、列車は信号機で区切られた一定の区間(閉そく区間)で1列車しか運転できず、線路の周囲には軌道回路や地上信号機、自動列車停止装置(ATS)、ケーブル類など膨大かつ複雑な地上設備を整備する必要がある。

これに対してATACSは無線式を採用。列車は線路内に設置された地上子と速度計から算出した走行距離を基に自車の位置を算出し、位置情報を無線で地上装置に送信する。地上装置は全ての列車から送信された位置情報を基に各列車のルートや停止位置を算出し、その情報を各列車に無線で送信する。列車は地上装置から送信された情報を基に運行速度のパターンを作成し、このパターンを超えないようにブレーキの制御を行う。

無線式列車制御システムは、列車位置や速度パターンなどの情報のやりとりを無線で行うため、地上設備を大幅に簡略化してメンテナンスの低減が可能になるほか、きめ細かな列車の制御も可能になるとされている。

《草町義和》

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