見た目(ベース車両)は、フィアット『500』である。しかし、アバルトが手がけると、こんなにぶっとんだクルマになるのかと、改めてひれ伏したい思いである。
ドアを開けると、とんでもなく立体感のある本革シート。ふと覗き込むとアルミのペダル。そして、よっく見るとシフトレバーがない。レバーの代わりにあるのは「D」とか「N」とか「R」とか書いてあるスイッチである。なぬお~? 驚愕のあまりスイッチを押す指が震えそうだ。
そしてエンジンをスタートさせると、低音のビートが周囲の空気を切り裂くように響く。こんなちっちゃなクルマのくせに、こんな音しちゃって大丈夫なのか。いや、大丈夫なのだけれど。そしてアクセルを踏むと、かったいサスペンションでがっちがっちの乗り心地。サスが硬いと女性がいやがるからと、ついつい親心を見せてしまう国産メーカー技術者とは大違いの「そんなの知らないもんね」ぶりである。
音+硬いサス=超楽しい加速感。200m走るだけで、脳みそがシェイクされそうな満足感。この高揚感はほかのクルマでは味わえない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。