【池原照雄の単眼複眼】なるほど…アコードHV「30km/リットル」の走りっぷり

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ホンダ アコード ハイブリッド
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  • 本田技術研究所 二宮主任研究員
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同じ2モーターでも、似ても似つかぬものに

ホンダの新ハイブリッド車(HV)シリーズ第1弾『アコードハイブリッド』は、軽自動車並みの30km/リットル(JC08モード)という圧倒的な燃費性能でアピールする。千葉県内の郊外路や市街地を試乗する機会があり、走りやシステムの作動状況などをチェックしてみた。モーターのみによるEV(電気自動車)モードでの走行範囲が想像以上に多く、またエネルギー回生も頻繁に作動するのが印象的であり、「30キロ」の実力が伝わってきた。

アコードのHVシステム「i-MMD」は、2モーターと2リットルのガソリンエンジンを組み合わせたもので、モーターが2つという点では熟成度の高いトヨタ自動車のHVシステムと同じ。だが、モーターやエンジンの使い方は、トヨタ方式とは「似ても似つかぬもの」(開発責任者である本田技術研究所の二宮亘治主任研究員)となった。

走りの主体はあくまで169馬力のモーター

トヨタ方式が歯車機構によってエンジンとモーターを常に最適に働かせるよう制御するのに対し、ホンダは走行の動力はモーターを主体とした「3モードドライブ」方式としている。バッテリーからの電気により、駆動用モーターで走る「EVドライブ」、エンジンで発電用のモーターを回し、その電気やバッテリーからの電気で駆動用モーターを動かしながら走る「HVドライブ」、さらに70km/h以上くらいの高速クルーズに燃費効率の良いエンジンで駆動する「エンジンドライブ」--という3つの走りだ。

走りの主体は、あくまでも駆動用モーターであり、その最高出力は124kW(169馬力)、最大トルクは307N・m。最大トルクの数値というのは、いまいちピンと来ないがホンダによるとV6型3リッターエンジンに匹敵するという。立ち上がりから大きなトルクが得られるというモーターの特性が十分発揮され、ゆっくりアクセルで発進するとバッテリー残量に応じてEVドライブが続く。EV走行でもトルク感は十分だ。

またか、とEVが頑張る

信号停止からのスタートで思い切りアクセルを踏み込んでみると、直ちにHVドライブとなる。エンジンは急速に回転を上げながら発電用モーターを最高出力に導き、駆動用モーターに目いっぱい電気を供給する。この時、バッテリーからも電気が流れ、駆動用モーターは最高出力に至る。エンジンの高回転域では、心地よいサウンドが響く演出もなかなか楽しい。

ストップ&ゴーが繰り返される市街地ではEVドライブ、HVドライブそして回生モードと変化するが、「またか」と思うほどEVが頑張る。また、わずかな下り坂に入ると回生モードに入りやすいし、ブレーキを踏むと停止寸前まで回生は続く。1.3kWhとHVでは蓄電容量が大きめのリチウムイオンバッテリーと、「電動サーボ式」という純電子制御式のブレーキがEVドライブや回生領域の広さをもたらしている。

ホンダの次の新HVシリーズは、9月に発売予定の3代目『フィット』に搭載される1モーター式の「i-DCD」となる。一部の新聞で、燃費は36km/リットル以上とHVでは世界最高になると報じられている。高い燃費性能に加え、どんな走りとなるのか。アコードHVに乗ってみて第2弾への期待も高まってきたが果たして…。

《池原照雄》

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