【インタビュー】ビステオンe-Beeデザイナー「接続性、カスタマイズ、室内空間拡大がキー」

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サイモン・ハリス氏
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  • ビステオン コンセプトカー e-Bee
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ビステオンは7月4日、2020年の乗用車のあり方を提案するコンセプトカー『e-Bee』を横浜市内で報道陣に公開した。デザインを手がけたビステオン イノベーション・デザイン ヨーロッパのチーフデザイナー、サイモン・ハリス氏にe-Beeの特徴、新技術などを聞いた。

---:ビステオンが提案するコンセプトカーはe-Beeで8台目となりますが、今回の車のキーコンセプトをお聞かせください。

サイモン・ハリス氏(以下:敬称略):コアなものとしては接続性、個別にカスタマイズできるということと、内装のスペースを広くした点です。

---:接続性に関してはe-Bee以前のモデルでも盛り込まれていますが、これまでのものとの違いや特徴は。

ハリス:以前のコンセプトカーでは車対車でコミュニケーションするということを行っていました。例えば救急車が近づいて来れば、それを知らせるサインを出したりとか、車線を逸脱した際には警告音を発するといったことです。

e-Beeでは、車とクラウドとの接続がテーマになっています。運転席の位置を始め、空調温度であったり、室内照明の色やパターン、好みの音楽などのデータをドライバーごとにクラウドに登録することで、同じ車であっても各ドライバーに応じた運転環境データを再現、カスタマイズできるようになっています。

---:室内空間の拡大では、空調システムをインストルメントパネルから、いわゆるエンジンルームに移すことで実現しました。

ハリス:どうすれば室内空間を広げることができるかというのは長年の課題でした。もともと空調システムというのは非常に場所をとるため、ビステオンでは様々な試行錯誤をしました。天井にシステムの一部を移すこともやってみました。今回は、エンジンルームに納まるように小型化することで可能になりました。

---:これはベース車両が電気自動車の『リーフ』だから可能になったのでしょうか、通常の内燃機関の自動車でも実現できますか。

ハリス:他の車でできないということはありません。ただ今回は電動コンプレッサーがあったことがシステムを小型化できる要因にはなりました。どんな車であっても、空調システムをエンジンルームに納めることは今後もやっていきたい。

---:e-Beeではヨーロッパ、アメリカ、中国ごとに利用方法を想定して内装デザインを変えることも提案しています。日本向けを造るとしたら、どのような特徴をもった内装になりますか。

ハリス:今回はアジア・パシフィック向けに中国バーションを用意しましたが、ただ中国と日本は大きく違うということは理解しています。実際に日本向けを設計するとなるとなかなか難しいですね。リサーチし、どのような要望がでてくるのかしっかりと把握する必要があります。

---:e-Beeを設計するにあたって高齢化にも配慮したということですが、具体的にはどういったところに表現されていますか。

ハリス:年齢を重ねれば重ねるほど、自分はまだまだ若いと思いたがるものですが、どのような年代の人が運転しても楽しいと感じられるように、基本的にはそれぞれの年代の人に応じて操作しやすくなるよう、自在に変えられるようになっています。

---:また今回から女性目線も取り入れたということですが。

ハリス:ひとつは車を買う女性が増えているということと、男性が女性化していることが背景にあります。しかし我々がしようとしているのは男性と女性を明確に分けようということではありません。それぞれの人たちのライフスタイルや興味、関心に基づいて車を変えていくということにフォーカスしようとしています。

---:e-Beeにはヘッドアップディスプレーを始めとする複数のモニターや車内照明など様々な電装品を採用していますが、実際にEV走行する際にバッテリーに影響を与えることはありませんか。

ハリス:e-Beeをそのまま実用化するということではありません。アイデア、技術を提案しているものなのです。もちろん装備をスケールダウンすることもできます。とはいえ電力を多く消費しているのは空調システムです。我々はより効率的な空調システムを開発、改良することで、それを解決しようとしています。

《小松哲也》

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