三井物産は、東欧/バルト三国の中央に位置するラトビアのリガ市で多目的港湾ターミナルを運営するリガス・ユニバーサライス・ターミナル(RUT)を買収したと発表した。RUTの株式80%を約2100万ユーロで取得した。
ラトビア最大の港であるリガ港は、バルト海に面した良港で、古くから東西の交易の重要拠点として発展してきた。同港から伸びる鉄道はCIS諸国と同じレール幅を使用しているため、ラトビアと直接国境を接するロシアを経由し、中央アジアに向けた鉄道輸送網が、リガ市を起点としてつながっている。
同港は高成長が続くロシア、カザフスタンなどCIS諸国向けのゲートウェイ港としての機能を果たしている。
RUTは、リガ港でバルク貨物やコンテナ貨物の荷役、冷凍・冷蔵倉庫、鉄道輸送も含めた多目的港湾ターミナルを運営している。国土の約半分が森林であるラトビア最大の産業は木材関連製品の輸出で、そのうちリガ港を経由するものが約7割を占める。
RUTは、これら木材関連のバルク貨物に加え、2009年から新規取扱いを開始したコンテナ貨物の伸びによって事業が拡大している。また、バルト三国港湾の中で冷蔵保管設備のEU認定ライセンスを保有する企業は、RUTを含む2拠点に限られており、RUTはカザフスタン向けの米国産冷凍チキンや北欧産冷凍魚などを取扱っている。
三井物産は今後、コンテナ貨物取扱いの歴史が浅いRUTに対し、コンテナターミナル運営ノウハウを提供し、荷役効率などの改善を図ることで、ターミナルのコンテナ処理能力を倍増させる計画。
三井物産は、RUTの買収で、欧州での港湾ターミナル事業へ参入する。また、バルク貨物事業のノウハウを蓄積し、アジア・大洋州・アフリカなどでのバルクターミナルの案件開拓・運営に活用することで、物流インフラ事業を拡大する。