所沢航空発祥記念館(埼玉県所沢市)で開催されている特別展「日本の航空技術100年展」。3月31日で終了する予定だった同展が、8月末まで延長され、世界で唯一現存する飛行可能な零式艦上戦闘機(零戦)五二型の“来日展示”も同期間まで延長されるという。
もともと“最終日”のはずだった3月31日のプログラム、零戦見学会(9時30分~11時、15時30分~17時)と、エンジン始動見学会(事前応募制、受付終了)は予定どおり開催する。
30日までの見学会のようすについて「来場者の長い列が途絶えなかったため、入場整理が行われる状態。(会期延長後の)4月以降のエンジン始動見学会については未定だが、展示見学は可能なので、同館ホームページなどに随時掲載される情報などをチェックしていただければ」と同館関係者。
この“来日中”の零式(れいしき)艦上戦闘機(零戦、ぜろせん)五二型(三菱飛行機製)。これまで60年以上にわたって、アメリカで動態保存されていたもので、カリフォルニア州チノ市にある航空博物館「プレーンズ・オブ・フェイム航空博物館」が所蔵する世界唯一の“現役時代そのままのエンジンで飛行できる零戦”。
1944(昭和19)年6月、サイパン島にて米国海兵隊によって“無傷の状態”で捕獲された機体で、のちに民間に払い下げられて同博物館で動態保存されたのだ。
この零戦には、中島飛行機製、栄二一型空冷複列星型14気筒エンジンが搭載され、見学会では、プロペラの周りにシリンダーが14個並んでいる姿を間近に見ることができる。
およそ70年前に組まれた栄エンジンに火が入ると、「ズバ、ズバババババッ」という不規則な爆音と白煙とともにプロペラが回りだす。観客席からは、その音に圧倒され、エンジンの回転が落ち着くと、自然と拍手が沸く……。
70代の男性は、「身体が飛ばされそうな威圧感と、なんともいえない音」と感慨深い面持ち。
同館関係者は、「当時の状態のまま動態保存される唯一の機体だが、エンジンなどの老朽化で、今後、再来日する可能性は極めて少ないのでは」とも話していた。
この会期延長は、地元・所沢市と多くの零戦ファンから延長を求める要望が多かったことから、所沢航空発祥記念館とプレーンズ・オブ・フェイム航空博物館による交渉が重ねられて実現したものという。
4月1日の解体見学会は、解体作業を延期。当日はエンジン始動とタクシング(イベント会場内での短距離滑走)見学会が実施されるという。