【CEDEC 2012】実利用も広がりつつあるARの基礎知識をおさらい

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ARを利用する主なデバイス
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レイ・フロンティアの田村建士氏は「AR(拡張現実)がもたらす新たな世界観の創出」と題した講演をCEDEC 2012初日に行いました。同社は2008年設立で、ARアプリを数多く手掛けてきました。

近年注目されるARですがその歴史は意外に古く、1965年にハーバード大学のアイヴァン・サザーランド准教授がVR(仮想現実)の研究でシースルーのヘッドマウントディスプレイで利用したことから始まります。田村氏はARとは「情報に価値を与える技術」「コンピューターやテクノロジーの力で人間の認識を拡張する」ものだと述べました。

主なデバイスとしてはスマートフォン、タブレット、ゲーム機、モーションキャプチャー系、ヘッドマウントディスプレイ系があり、実現手段としては「センサー・位置情報型」「センサー・画像認識型」「3DCG型」「顔認識・表情認識型」「ジェスチャー認識型」「物体認識型・空間認識型」「プロジェクションマッピング型」が挙げられました。これらは目的に応じて選択される必要があります。

■実利用が広がるAR

ARの活用は実社会で広がりつつあります。米国のZugara社はオンラインでのファッションの試着販売をARで行い、これにより40%以上の人が詳細ページを表示、80%近くの人がARを体験、50%の人がカートへ追加という効果があったそうです。英国のhidden社はオリジナルの玩具を提供している会社で、ウェブサイトでARを用いて事前に見られるようにしました。すると購買率や金額が大幅に跳ね上がったそうです。

スマートフォンアプリでも観光、商品・店舗販促、TV・映画、ファッション、書籍、ゲーム、教育、ECなど多彩な分野で活用が始まっています。セッションでは様々な事例が紹介されました。

しかし田村氏は「ARは使うだけで夢が叶う魔法の道具ではない」として注意点を挙げました。まず利用環境です。全てのユーザーがARを活用できるハードを持っているわけではありません。例え環境があったとしても、アプリが必要なケースが大半です。このアプリの入手までも設計に入れておく必要があるでしょう。もう一点はARで何を実現したいか明確にする事です。単にARを使うだけでは意味がありません。ターゲットが何を欲するか、きちんと理解する必要があります。

成功しているARアプリの共通点は、拡張するコンテンツに既にファンが存在し、常にニーズがあるテキスト情報やイメージ情報を提供できるといった点があるそうです。また、クオリティが高く、きちんと付加価値を付けてARならではの遊びを実現し興味を喚起することも重要です。イベントと絡ませるのも効果的なようです。

ガードナーが昨年発表したテクノロジーの予測では5~10年後の成熟が期待されるというAR。スマートフォンの普及が進んでいる点も有利に働きそうです。レイ・フロティアでは「これからARを始める時のお手伝いをする会社」(田村氏)として、アプリ制作やサービス設計を行なっていくとのこと。

《秋葉友樹@INSIDE》

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