ルマンの頂点をハイブリッドで争うアウディとトヨタ
ハイブリッド・システム・マシン「TS030」でトヨタがル・マンへカムバックする。7号車のドライバーに元F1ドライバーの中嶋一貴がラインナップされているのも楽しみだ。
常勝アウディもまた「R18e-tron」というハイブリッド・カーで迎え撃つ。しかもアウディは電気モーターで前輪を駆動する四輪駆動車でもあるのだ。両メーカーは先進のハイブリッドカーを2台ずつ送り込むわけだが、アウディは周到にも昨年の優勝車の進化型「R18ウルトラ」ディーゼル・ターボも2台エントリーしている。
大物食いを狙うプライベーター、ホンダも上位を伺う
LMP1クラスにはこれら6台のワークス・マシンの他にも魅力的な伏兵たちが揃った。レベリオン・レーシングのローラにはトヨタ・エンジンとともにF1でお馴染みのKERSシステムが搭載された。
アメリカのHPD(ホンダ・パフォーマンス・テクノロジー)はストラッカ・レーシングとJRMに1台ずつマシンを託す。童夢は4年振りにル・マンへ帰ってきた。ドライバーには2004年の総合優勝者・荒聖治が加わる。
◆LMP2クラスはニッサン・エンジン同士の戦い?
20台ものエントリーを集めたLMP2クラスはそのうち13台がニッサン・エンジン搭載車だ。日本人ドライバー・中野信治、黒澤治樹、井原慶子はそれぞれ別のチームでニッサンエンジン車を駆る。少数派のホンダ、ジャッド、ロータス・エンジンを圧倒するか。
◆911、458にZR1、そしてバンテージ…LM GTEはスーパーカーの競演
LM GTEクラスはポルシェ911RSR、フェラーリ458イタリア、シボレー・コルベットC6-ZR1、アストンマーチン・バンテージV8と多彩な車種による拮抗したレースになりそうだ。
◆影の主役…本山やクルムが駆るデルタウイング
今年新設された「ガレージ#56」という新技術をプロモートする特別枠に選ばれたのはデルタウイングだ。徹底した軽量化とドラッグ軽減を目指して設計され、高い環境性能を目指したマシンになっている。
前輪の太さはわずか10cmしかなく、フロントのトレッドも異常に狭い。ダウンフォースはアンダートレイで発生させるという。元々インディカーのコンペに参加したマシンを2シーターにコンバートしたものだ。ニッサンの1600ccエンジンを積み、本山哲、ミハエル・クルム、マリーノ・フランキッティのトリオが乗る。
第80回を迎えるル・マン24時間レースは13、14日に予選、16日午後3時に決勝レースの火蓋が切って落とされる。