決勝レースを翌々日に控えた金曜日はカーブ・デイと呼ばれる最終練習走行日だ。この日のわずか1時間のみが決勝までに最後に与えられた走行時間になる。各車はここから決勝用のエンジンで走る。
先週の予選以降、明るみになったシボレーとの差をホンダが縮めることが出来るのか?そこが最大の焦点となった。例年ならば調子を見て数周で引き上げるマシンが多いのだが、今年は様相が違った。
新型のマシンであり、エンジンは載せ換えたばかりだ。多くのドライバーが時間いっぱいまで使って決勝用のセッティングを試した。
結果、トップ・スピードをマークしたのはホンダのダリオ・フランキッティだった。2番手も同じチップ・ガナッシのスコット・ディクソンが続き、ホンダはレース用エンジンのデモンストレーションに見事成功した。3位こそシボレーのマルコ・アンドレッティが入ったものの、4位にはまたホンダの佐藤琢磨が名を連ねた。
しかし、これでシボレーのアドバンテージが無くなったと考えるのは早計だろう。これはあくまでドラフティングを使ってのスピードで、単独走行では依然シボレー勢が優位との見方が大勢を占める。決勝レースの行われる日曜日の最高気温はファイナルプラクティスより7度は高い35度以上が予想されている。ホンダの大逆転はその暑さを味方につけてこそ達成されるのだろう。
佐藤琢磨は走行後、次のようにコメントしている。
「車はだいぶ良くなりました。でも、まだもう少し。もっとトラフィックの中で試したかったんですが、タイミングが合わなかった。まだウィングを寝かせて行くと、単独では良いけれども前のマシンに近づけない。
ウィングを足せば、トラフィックの中でもだいぶ安定してくるんですけれども、前に出たらあっという間に抜き返されちゃう。そこら辺、シーソーみたいに行ったり来たりでした。もうちょっとメカニカル・グリップを上げて行かないとウィングを軽くは出来ない状態です。
(今日の好結果は)ウィング・レベルの違いもありますから一概には言えませんね。シボレー勢は気温が高くなったので冷却のためにダウンフォースが減ったというのはあるかも知れませんが。今日からロジャー(安川)がスポッターに来てくれました。これで去年と同じ良い状態でレースに挑めます」
27日正午、第96回インディ500のグリーン・フラッグが振られる。