フォルクスワーゲン『ザ・ビートル』は、初代、先代同様、乗員4~5名で、ラゲッジスペースを設けることを基本としてデザインされている。
エクステリアデザインを担当した、VWAGデザイナーのクリスティアン レスマナさんは、初代『ビートル』を、「まさにクルマのデザインにおけるアイコンとなり、非常に人気のあるクルマです。その人気はいまでも衰えることはありません」と評価する。
そのデザイン要素は、「独立したフェンダー、長いボンネット、まっすぐに立ちあがったAピラー、そして丸みを帯びたルーフの曲線」だといい、特に、「ルーフのトップはBピラーより後ろにある。すなわち後席も、前席と同じくらいのスペースを設けようとした、まさにビートルの典型的なルーフ形状なのです」。
「これらのエレメントは90年代の『ニュービートル』も引き継ぎ、初代のビートルを新たな解釈で作り直した結果、よりシンプルな、いわゆるバウハウス型のデザインとなりました」。レスマナさんによると、このデザインは「初代よりも更にシンプルな、アイコン的なデザインで、初代ビートルとは違うシルエット」だという。
つまり、前後フェンダーが独立で成形された形状で、ルーフも曲線を描くということは共通であるが、「ルーフは先代と違い丸いきれいな曲線で、よりグラフィックなデザインとなりました。また、シンプルなシェイプにするため、ルーフのトップはクルマの中心あたりになったのです。更に、Aピラーの角度は空気抵抗を少なくするため寝た形状となり、ボンネットは短くなりました」。その結果、居住空間は初代とは変わり、後席の天井が低くなってしまった。
ザ・ビートルは、これまでの様々な要素を次世代のビートルとして進化させたモデルであるとレスマナさん。「シルエットは初代ビートルを継承し、長いボンネット、フェンダーが存在感を示しています。また、ルーフの曲線も後部座席の上が一番高くなりました」。
レスマナさんはプロジェクト当初から、スポーティさやマスキュラン(男性的)な感じなど、たくさんのエモーションを追加したいと思った。しかし、「典型的なビートルの特徴である、シンプルさや親しみやすさは失いたくはありませんでした。こうした側面が全て組み合わさった結果、ザ・ビートルは初代同様共感を呼ぶクルマに仕上がったのです」と語った。