【トヨタ プリウスPHV 試乗】EVとHVの良さを併せ持つ遠出も安心のPHV…青山尚暉

試乗記 国産車
トヨタ プリウスPHV
  • トヨタ プリウスPHV
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  • タイヤはブリヂストンのエコピア。サイズはグレードを問わず195/65R15
  • ボディ右側後端に充電用のリッドがある。ガソリン給油口は左側に。
  • 充電中。200Vのほか、100V用のアダプターも用意される。

『プリウスPHV』は「HVでもっとEV走行できないものか」、「EVじゃまだ長距離移動に向かず、出先での充電事情が不安」

そんなふたつの要望、悩みにすっきり応えてくれる、超燃費性能と安心感を両立した、いま、もっとも先進性あるEVより実用的な自動車のスタイルと言える。

基本部分はもちろん『プリウス』そのもの。街中、プリウスだらけの今、特別な存在感は薄い。

しかし、リチウムイオンバッテリーを搭載した最新の市販車に乗ってみればEV走行の領域がフル充電、実走行で約20km可能なのだからHV、プリウスとして見ればものすごいことだ。近所の買い物、駅への送り迎えなどならガソリンを一滴も使わず済む可能性大。軽自動車的なご近所専用車として使うならガソリンスタンドつぶし(!)になるほど、給油の機会は劇的に減るだろう。

一方でEVと違い、長距離ドライブでもバッテリー残量にドキドキ、ハラハラすることもない。いくらナビ画面やスマートフォンで場所を教えてくれるとはいえ、充電スポット探しで右往左往するのはけっこうストレスになる。

20kmも走ればバッテリーは底をつき、ただのプリウス(!?)HVとなる。初期型はプリウスの同グレード比で140kgも重かったものが、最新の市販車はバッテリーの減量に成功。HVのプリウス比で50kgの重量増に収まった。それでもHV走行領域で豊満な大人の女性1人ぶん重いプリウス…と悪口をたたくなら、それは20km程度EV走行できるというありがたみを忘れている。PHVでのJC08モード61km/リットルという驚異的かつ絶対的な燃費性能を忘れている。

さらにEV/HVの切り替え操作が可能になったのも朗報だ。これなら高速走行で強制的にEV走行しなくて済む。

自分の生活圏、ドライブルートを302kmを走行した結果、実燃費は同条件でプリウスが20km/リットル前後のところ、プリウスPHVは何とプリウスの倍近い37.2km/リットルだった!! それがプリウスPHVの実力、存在意義を端的に示す。

ところでプリウスPHVの大きな魅力のひとつがプリウスより乗り心地がいいところ。『プリウスα』でも感じられる、プリウスシャシーの悪癖、持病(!?)と言える乗り心地の悪さがMC後のプリウスベースということもあって軽減。ぶっちゃけ、乗り心地はプリウスファミリー最上だ。重量増も実はこんなところで役立っているのでは!?

市販車は荷室の容量がプリウス同等となり、使い勝手面でのハンディはもはやない。

さらに『リーフ』の専売特許みたいだったスマートフォンとの連携準備も整った。

eConnectサービスによって、駐車場に足を運ぶことなくリモート充電が可能で、EV走行可能距離、充電ステーションの場所がクルマから離れていても分かるし、これからの季節はリモートエアコン機能で乗り込む前にあらかじめ室内を冷やしておくこともできる。

そんな未来のモビリティ感もまたプリウスよりはるかに強い。特に補助金がドーンと出る地域の人にはお薦めである。ただし、自宅で充電できる環境は不可欠で、多くの集合住宅に住む人にとってはまだまだハードルが高い。

ちなみにペットを乗せる場合は後席からのアクセスが基本。荷室からだとフロア高が685mmと高すぎるからだ(600mm以下が好ましい)。しかし後席のシートクッション地上高は590mm。中大型犬なら自分で飛び乗れ、飛び降りれる高さだ。その後、後席を片側倒し、荷室スペースへ移動させてもいい。

そうそう、プリウスPHVは車中泊も可能だ。後席を倒すと完全にフラットなベッドスペース(!?)が出現し、フロア長は159cmでしかないものの、ヘッドレストを枕として使うため反転させて装着して伸ばすと、荷室後端からヘッドレスト前端までの長さ(実質ベッド長)は172cmにもなる。寝心地、けっこういいです。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフジャーナリスト
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。

《青山尚暉》

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