気になるのはトヨタ『86』と何が違うか?だろう。
両車に試乗し感じたのは「スバル『BRZ』のほうが微妙にオトナな味わいがある」ということ。
とくにステアリングを切り始めた際の手応えや、ロールの始まりは、オノマトペ(擬音語)で表現すると、86が“スッ”なのに対し、BRZは“ジワッ”といった風。もともと応答遅れなどと無縁な非常にポテンシャルの高い設計で、86は仕上げまでそうだが、BRZは、最後のところでほんのひと味、ひと手間、スバルらしい走りの演出が(ほんとうに控えめな表現だが)盛り込まれたように思う。
BRZは低速での乗り味が骨太なのは意外だが、スピードを上げていくとそれが得も言えぬ安定感に変化していく、それもいい。
200~600Hzの吸気脈動を3000rpm台後半から10~15dB増幅させて“聞かせる”という音の演出も、86よりほんの僅かだけまろやかな音質に感じるのは、これは気のせいだろう。が、メーター内の文字書体、モノトーン基本の室内のコーディネーション等、手が入れられる箇所を可能なだけBRZ独自とし、86との棲み分けを図っていて、そこが「いいね!」と思えるのは確かだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年より『GOLD CARトップ・ニューカー速報』の取材/執筆を皮切りにフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。