[JAXA]突発的質量放出が起きてる?

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左上のオレンジ色に輝く星が今回見つかった天体
  • 左上のオレンジ色に輝く星が今回見つかった天体
  • 日本初の赤外線天文衛星「あかり」
  • 今回の発見についてはNASAも発表している

 JAXAは27日、JAXAの宇宙科学研究所の研究員が、通常では説明出来ない不思議な性質を持つ赤外線天体を発見したと発表。今から50億年後に、太陽に起きるとされる突発的なガスやちりの噴出現象と同じものかもしれないと憶測を呼んでいる。

 「WISE J180956.27-330500.2」と呼ばれているこの天体は、通常の天体の性質では説明できない、波長による明るさの不一致という性質を持っているという。

 研究グループの立てた仮説によると、今からおよそ15年前にこの星から大量のちりとガスが宇宙空間に放出され、放出された直後のちりはまだ暖かく、短い波長の赤外線で輝いていた。ちりが星から遠ざかるにつれて温度が下がり、NASAの赤外線天文衛星「WISE」や日本の赤外線天文衛星「あかり」で観測される波長の赤外線を放つように変わってきた。放出されたちりの量はおおよそ地球一つ分。さらにその100倍以上のガスも同時に放出されたとみられている。

 太陽のような比較的軽い星は、進化の最終段階で赤色巨星となり、このとき、星の内部では炭素と酸素からなる核を、ヘリウムと水素の層が二重に取り巻いている。条件によって、水素の核燃焼によって徐々に溜まったヘリウムが、数万年に一回、瞬間的に燃えるということが理論的に予測されており、このヘリウムの激しい燃焼のエネルギーによって、大量のガスやちりが短期間に星から宇宙空間に放出される。

 過去にこのような「突発的質量放出」が起きた証拠は、いくつかの星で知られており、「あかり」による詳細な研究が進められているところ。しかし、実際に赤色巨星からガスやちりが噴出した直後の様子をリアルタイムで捉えた例はこれが初めて。今回見つかった天体は、過去10数年の間に赤外線での明るさが大きく変化しており、星に起きた激しい現象を時々刻々観測することが出来るのだそう。

 年老いた星からのガスやちりの放出は、次世代の星や惑星、あるいは生命を作る材料を供給している、宇宙の営みの重要な一過程。研究グループでは、世界中の天文台や観測装置を使って、追観測を行う計画を進めている。今回の発表によって、世界中の天文学者もこの天体に注目するとされ、近い将来、この天体の素性が明らかになれば、太陽の運命についてもより詳しい予測が出来るようになるかもしれないとのことだ。

太陽の運命が予測できる!? JAXA、未知の赤外線天体を発見

《白石 雄太@RBB TODAY》

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