アルファロメオ『ジュリエッタ』の日本でのラインナップは、基本は右ハンドル車。ただ、左ハンドル車を基本に設計されたクルマだけに、右ハンドル車に乗るとペダルレイアウトがやや苦しい感じになる部分がある。
ジュリエッタは全幅が1800mmに達してやや大きめのボディを持つのだからレイアウトには余裕があるはず。右ハンドル国のユーザーとしては、車両設計にもうひと工夫が欲しい。
走り出すとすぐに、しっかりしたクルマ作りが感じられた。ドイツ車であるフォルクスワーゲン『ゴルフ』にも似た剛性感や走りの安定感があり、とても良くできたクルマという印象を持った。
これは1.4リットルの「マルチエア」エンジン+インタークーラー付きターボにツインクラッチを組み合わせた「コンペティツィオーネ」仕様はもちろんのこと、1.8リットルの直噴仕様+インタークーラー付きターボに6速MTを組み合わせた「クワドリフォリオ・ヴェルデ」でも同様で、どちらもしっかりした感じの硬めの乗り味がゴルフを連想させた。
エンジンはコンペティツィオーネが125kW/250Nmの実力で、これでも十分といった印象。ツインクラッチとの組み合わせで滑らかで力強い走りが得られる。クワドリフォリオ・ヴェルデは173kW/300Nmの実力で、これはジュリエッタのボディに対して余裕十分のもの。相当にスポーティな走りが得られる。
タイヤはコンペティツィオーネが17インチ、クワドリフォリオ・ヴェルデは18インチが装着され、当然ながら18インチ仕様のほうが硬めの乗り味となるが、足回りがしっかり動くことで18インチタイヤでも乗り心地の悪さを感じさせない。
ゴルフのように良くできたジュリエッタというのが、アルファロメオ車を誉める言葉になるのかどうか疑問の余地もあるが、デキの良さと競争力のある価格は魅力である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。