ジャガー・ランドローバー・ジャパンから発表された『レンジローバー・イヴォーク』は、2008年の北米国際自動車ショーに出品された『LRXコンセプト』を製品化したものである。
ショーモデルを製品化する際は、様々な障害が発生し、最終的には造形モチーフのみ残るということが多い。しかし、イヴォークではミリ単位での変更のみで市販化に成功した。
当然そこには大きなジレンマがあった。マーケティング・広報部ストラテジックプランニングマネージャーの須藤博さんは、「実際にパッケージング、エクステリアデザインを考えていく際、既存のプラットフォームを使用した場合には、ボンネットラインとヘッドルームを維持すると、LRXコンセプトのルーフラインを維持するのは不可能でした。また、同様に、LRXコンセプトのルーフラインを維持しようとすると、今度はヘッドルームが犠牲となってしまいました」。
「ルーフラインを維持しつつ、ヘッドクリアランスを十分に確保しようとすると、乗員に窮屈な姿勢を強いてしまいます。では、ルーフラインをキープし、室内空間を十分とって、乗員の姿勢も窮屈にならないようにフロアの位置を下げると、今度はグランドクリアランスが犠牲となり、オフロード性能に影響が出てしまうのです」
最終的にランドローバーが取った解決法は、「フロアパンとオフロードグランドクリアランスラインの間に収まる、システム類とコンポーネントをパッケージしなおすという手法が取られました。その結果、『フリーランダー2』で使用しているプラットフォームをベースに大幅に改良を加え、90%以上の新しいパーツを使用して、新しいボディストラクチャーが開発されたのです」(須藤さん)。
その結果、フロアラインは、フリーランダー2より27mm低い位置にありながら、非常に大きなグランドクリアランスを確保することに成功した。